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FP1級の勉強時間を調べると、資格スクールのWebサイトでは「500〜600時間」という目安をよく見かけます。
一方で、個人の合格体験記を読むと200時間や300時間で合格した例もあり、「結局、自分は何時間かかるのか」が見えにくい試験です。
この差が生まれる理由は、受検者の知識だけでなく、FP1級の試験のしくみにあると考えています。

1級FPライター
イシダ
FP全級を独学で一発合格(1級はきんざい学科→協会実技)/相続とタックスが得意/元・会計事務所/ Lancers金融ライタースペシャリスト認定
FP1級と2級の違い
1級では、試験の形式や内容が変わります。
試験形式の違い
1級では、2級までのように学科と実技を同じ日に受けることはできません。
学科に合格してから、実技に進む流れとなります。
2級までの学科と実技が、1級では基礎編と応用編として、学科でひとまとめで出題されるイメージです。
2級と1級学科の主な違いは、以下のとおりです。
| 2級(学科・実技) | 1級学科 | |
|---|---|---|
| 試験形式 開催回数 | CBT形式で随時受検可能 | 筆記形式で年3回(9月・1月・5月) |
| 出題形式 | ・【学科】四肢択一 ・【実技】択一式&記述式 | ・【基礎編】四肢択一(マークシート) ・【応用編】記述式)(筆記) |
| 合格基準 | ・満点の6割以上 ・学科・実技それぞれで合否判定 | 基礎編・応用編を合わせて満点の6割以上(120点以上/200点) |
| 合格率 | 50%前後 | 12%前後 |
| 試験機関 | きんざいとFP協会 | きんざいのみ(実技はきんざい・FP協会の両方が実施) |
| 受検資格 (実務経験の有無) | なくても受けられる(3級合格者またはAFP認定研修修了者) | 実務経験が必要(5年以上または2級合格者なら1年以上) |
| 電卓持ち込み | 不可 | 必須 |
試験内容の違い
FP1級の基礎編は、FP2級と同じく四肢択一です。
FP2級では、基本的な制度を知っていれば判定できる「易しめの選択肢」が1つか2つ混ざっていることが多かったと思います。
しかし1級ではそれがなく、一見どれも正しく見える(あるいは怪しく見える)選択肢ばかりとなります。
それまでとは比較にならないほど細かい部分が問われるため、正確な知識がなければ正答を選べないのです。

最後の2択ではずすのがお約束です…
実際にどのように問題が変わるのか、過去問で確認してみましょう。

まずは2級の問題です!
所得税における各種所得等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 不動産所得の金額は、原則として、その年中の「不動産所得に係る総収入金額-必要経費」の算式により計算される。
- 一時所得の金額は、その年中の「一時所得に係る総収入金額-その収入を得るために支出した金額の合計額-特別控除額」の算式により計算される。
- 発行済株式総数の5%未満の株式を所有する株主が受ける上場株式等に係る配当等は、その金額の多寡にかかわらず、申告不要制度を選択することができる。
- 退職一時金の支払を受ける退職者が、その支払時に「退職所得の受給に関する申告書」を提出しない場合、所得税および復興特別所得税として、退職一時金の支給額の20.42%が源泉徴収される。
(出典)一般社団法人金融財政事情研究会|ファイナンシャル・プランニング技能検定 2 級学科試験 2025年5月

1と2は基本事項だね
所得の計算方法だけ知っていれば、消去できるよ

そうだね
4は身近な話だし、3は少しむずかしいけれど消去法で戦えるね
不適切なのは「3」です。「5%未満」ではなく「3%未満」になります

これが1級になると、こんな風に変化します
居住者に係る所得税の不動産所得に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
- 所有する土地に建物の全部の所有を目的とする借地権を設定し、その対価として、当該土地上に住宅を建築する借地権者から当該土地の時価の2分の1以下である権利金を受け取った場合、その金額は、不動産所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。
- (省略)
- (省略)
- 賃貸アパートの家屋およびその敷地に係る固定資産税について、2025年度第3期分の納期が2025年12月1日から2026年1月5日である場合、2026年1月5日に納付した税額は、不動産所得の金額の計算上、2025年分の必要経費に算入することはできず、2026年分の必要経費に算入する。
(出典)一般社団法人金融財政事情研究会|ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級学科試験 2026年1月(選択肢2と3は省略)

「不動産所得」は2級でも問われるけど、1級はかなり具体的な計算方法まででるんだね!

国税庁の個別のタックスアンサーにちょこっと書いてある程度の知識も問われます
仮に2択まで絞れても、知らなければここで外してしまいます
もっとも不適切なのは「4」です。2026年1月に納付した第3期分は、原則2025年に算入しますが、2026年に算入することもできます。「1」は正しい内容ですが、「時価の2分の1超えなら譲渡所得になる」というルールの存在を知らなければ、何を問われているか見当がつかず、ひたすら怪しく見えて惑わされます。
1級では1つ1つの選択肢で細かい論点を掘り下げてくるため、基本知識があっても、問われている部分の知識を持っていなければ、選択肢を絞りきれません。
最後の2択まで絞れても、知識に穴があればそこで間違えてしまうのです。
FP1級の出題分野も、6分野(ライフ・リスク・金融・タックス・不動産・相続)であり、2級までと同じです。
2級までは得意分野で点数を稼ぎ、苦手分野は最低限の基本問題だけ押さえる方法でも合格を狙えました。
なぜなら、各制度の基本的な知識を問う問題も出題されるため、直前によくでる数字や制度を丸暗記していれば、対応できる問題もあったからです。
しかし、1級はかなり細かい論点まで出題されます。
丸暗記しようとしても情報が多すぎるため、基礎が積み上がっていない分野だとうまく整理できなくなり、学習時間に対して点がのびにくくなります。
2級まで得意分野に頼り、苦手分野と雑に向き合ってきた人は、ここから追いつかなければならなくなります。

これは筆者自身のことです…
1級の学習は、苦手分野にたくさん時間を使いました…
2級までは、学科と実技のそれぞれで合否判定が行われていました。
これに対し、1級の学科試験では、2級までの学科と実技に近い基礎編と応用編の1本で構成されており、総得点で6割以上が合格ラインとなります。
| 試験区分 | 試験時間 | 出題形式 | 設問番号 |
|---|---|---|---|
| 基礎編 | 10:00~12:30 (150分) | 50問 (四肢択一式) | 問1~問50 |
| 応用編 | 13:30~16:00 (150分) | 5題の事例形式 (記述式試験) | 問51~問65 (5つの事例に各3問) |
基礎編は50問の四肢択一式で、広範囲から細かな知識を問われます。
一方、応用編は、5つの事例(ライフ、金融、タックス、不動産、相続)にそれぞれ3問ずつの計15問で構成されています。
各3問のうち1~2問は計算問題であり、過去問対策で解法パターンをしっかり身につければ、比較的得点しやすい問題になります。
FP1級の勉強時間が人によって変わる理由
FP1級の学科試験は、基礎編(四答択一式)と応用編(記述式)で構成され、200点満点の6割で合格となります。出題は2級までと同じ6分野ですが、問われる深さと広さが大きく変わります。
FP1級の勉強時間の目安に大きな幅がある理由は、主に次の要素が関わっていると考えられます。
- 2級の知識が残っているか
- 1級レベルの得点源になる知識があるか
- 基礎編と応用編で伸ばし方が違うことを知っているか
それぞれ見ていきましょう。
2級の知識が残っているか
FP1級の出題6分野は2級と同じです。1級の学習は、2級で身につけた知識の上に積み上げていくことになります。
土台が強固であればあるほど、知識の積上げは効率的に進められます。そのため、2級に合格してすぐ1級の勉強を始められる場合は、勉強時間を短縮しやすくなります。
一方、2級の合格から間があくと、覚え直しの時間が必要になります。1級は上乗せする知識の量が多いため、土台が不安定な場合の差は、2級のときより勉強時間に大きく響きます。
1級レベルの得点源になる知識があるか
1級の出題は各分野とも求められる知識の範囲が広く、2級より深まります。
そのため「2級に受かったときの知識」は、そのままでは得点源になりにくいです。
FP分野を仕事で扱っている方や、関連資格を持っている方であれば、1級でもそれが得点源になる場合があります。
なかでも税務関連の知識は、1級学科でも大きな武器になります。
当サイトで基礎編の出題を調べたところ、タックスプランニングや相続をはじめ、税務に関わる問題は50問中20問前後を占めています。
基礎編と応用編の戦略をもっているか
2級までは、学科と実技のそれぞれで合否判定が行われていました。
これに対し、1級の学科試験では、2級までの学科と実技に近い基礎編と応用編の1本で構成されており、総得点で6割以上が合格ラインとなります。
| 試験区分 | 試験時間 | 出題形式 | 設問番号 |
|---|---|---|---|
| 基礎編 | 10:00~12:30 (150分) | 50問 (四肢択一式) | 問1~問50 |
| 応用編 | 13:30~16:00 (150分) | 5題の事例形式 (記述式試験) | 問51~問65 (5つの事例に各3問) |
基礎編は範囲が広く、テキストで網羅しきれない問題も出題されます。時間をかけた分だけ点数が伸びるとは限らない領域です。
一方の応用編は、事例形式であり、出題パターンがある程度決まっています。
特に事例5題にそれぞれ1問ずつ出題される計算問題は、時間はかかりますが、過去問を5~10年分ほど繰り返し練習することで得点が安定していきます。

昨今はひねった問題も不定期で出題されるため、過去問のパターン暗記だけでは得点しにくくなっています…
ですがそれでも投下時間に対するリターンが安定しやすいのは、今も応用編の計算問題だと思います。
戦略をもたないまま教科書を開き、基礎編から完璧にしようとすると、勉強時間は際限なく膨らみます。
FP1級学科の勉強時間の目安
それでは「自分の場合、何時間くらいかかりそうか」の目安をお伝えします。
1級レベルの得点源がある|200時間〜
6分野のうち、FP1級レベルに対応できる知識をすでに持っている方は、200時間前後から合格を狙える可能性があります。

私は勉強を始めた時点で、タックスと相続の2分野のみ、基礎編の半分ほど正答できる状態で250時間ほどで合格できました。
この経験から目安として、初期状態で基礎編の問題のうち20問前後について選択肢を2つくらいまで絞れるようでしたら、勉強時間はこのくらいに抑えやすいと思います。
2級で学習の土台を固めている|400時間〜
2級の知識はしっかり残っているものの、1級レベルで明確な得点源がない場合は、400時間以上を見ておくと安心です。
FP1級もまた、2級と同じ6分野から出題されるため、2級の土台が強いほど1級のインプットを効率的に進められます。
しかし、1級では制度の細部まで問われることがあり、覚える量は非常に多くなります。2級の土台があっても、得点源になる分野がなければ、このくらいの時間は見積もっておく必要があります。

私の感覚では、基礎編の過去問を見て、正答できる問題や2択まで絞れる問題が5問以下の状態なら、基礎編のインプットにかなり時間を割かなければなりません。これをせず応用編を得点源に育てても合格ラインには届きにくいと思います。
真っ向勝負なら追加50時間〜
FP1級の学科試験は、基礎編と応用編の合計で6割を取れば合格できます。そのため、合格を効率よく目指すなら、出題傾向がある程度決まっている「応用編」を得点源に育て、基礎編は取れる問題を確実に拾う戦略が現実的です。
ただし、パターン攻略の勉強法は「試験のための勉強」になりがちです。
「勉強時間が増えてもいいので、細かい論点をしっかり習得する機会にしたい」という方、パターン攻略を良しとしない方もいるでしょう。
その場合は、少なくとも50時間以上の追加を見ておくことがおすすめです。
なるべく勉強時間を短縮したい場合は、基礎編と応用編の取り組み方が重要です。
FP1級学科の勉強法
FP1級学科の勉強では、基礎編で5割、応用編で7割ほどの得点を目指すことがおすすめです。

学科試験の合格証書を見ても基礎と応用の配点はわかりません
私が自己採点した感じだと、おそらく基礎100点/応用100点であり、学科試験は、均等に2点ずつ(全50問)だと思います
ここからは、FP1級学科を効率よく進めるための勉強法を紹介します。
軸になる教材を選ぶ
まずは、軸になるテキストと問題集を決めます。
テキストは、最初から完璧に覚えようとせず、少し読んで「こんな制度やルールがあるのか」と思ったら、すぐにセットの問題集で問題文と答えを見ましょう。
1級はとにかく量が多いため、テキストを読むだけの受動的な作業だけでは、すぐに内容を忘れます。
そのため、問題文で角度を変えながら、できるだけ自分の中で一つずつの制度やルールを最初に印象付けていくことが大切です。
基礎編5割、応用編を7割を目指す
FP1級の学科試験の勉強で特に大切なのが、応用編を得点源に育てることです。
応用編は事例形式であり、計算問題、語群選択、記述問題などで出題されます。知識があっても初見では解きづらい難問ですが、出題のパターンはある程度決まっています。
特に、計算問題はかなり似たパターンが出題されやすく5年分から10年分の過去問を練習しておけば、得点源にしやすくなります。

私は基礎編の勉強から始めたのですが、なかなか終わりがみえず、応用編の開始がかなり遅れました。
そこで初めて応用編が得点源になることに気づき、そこから過去問題集で出題パターンを洗い出し、解法を覚えました。

気づくのが遅かったため完璧とはいえない状態で試験を迎えましたが、それでも5題のうち3題が解いたことのある問題だったので、最終的に基礎編よりちょっと多く得点できました!
直前期は予想問題で仕上げる
FP1級の勉強の最後の一押しが、予想問題集です。

予想問題集は、法改正で狙われやすい論点や、よくでる問題がまとめられています。
対策しにくい基礎編の直前のブースターに最適です。
私も3級から1級まで、すべて予想問題集を直前に解いています。
特に1級学科は合格点ギリギリでした。予想問題集を解いていなければ解けなかった問題もあったため、これがなければ1級は一発合格できていません。
予想問題集は、過去問をしっかり分析して作られているため、どれが出てもおかしくない高精度な問題ばかりです。基礎編は四肢択一ですが、すべての選択肢の〇×判定ができるまでやり込むことがおすすめです。

私が1級の独学に使った市販テキスト、問題集、過去問題集、予想問題集はこちらで紹介しています。
FP1級の勉強時間が「多すぎる」と感じた方へ
ここまで読んで、「FP1級の勉強時間は思ったより多い」と感じた方もいるかもしれません。
しかも、勉強が長期間になると最初に覚えたことは忘れてしまいます。
そのため、なるべく半年から1年ほどで集中して取り組むことが望ましいのですが、これだけの勉強時間を、短期間で確保できる人は限られます。
そこで知っておきたいのが、1級FP技能士になる他のルートです。
1級の学科試験は、日本FP協会の「CFP資格審査試験」の全6課目に合格することで免除されます。
CFP試験の出題範囲も、FP検定と同様に6課目(金融・不動産・ライフプラン・保険・タックス・相続)ですが、FP検定と異なり、課目合格制になります。

CFP試験では課目ごとに合否判定が行われるため、1課目ずつ合格して全6課目合格を目指すことができます!
1課目あたりの勉強時間の目安は、人によりますが50~60時間と言われており、合格率も1課目あたり35%ほどで安定しています。
まとまった勉強時間を確保しにくい方にとっては、1級学科試験よりもCFP試験を目指すほうが、1級FP技能士の近道になる可能性があります。
こちらの記事で自分に合うルートの選び方を解説しています。
まとめ
FP1級の勉強時間は、人によって大きく変わる主な理由は、2級の知識、1級レベルで得点源にできる分野の有無、そして基礎編と応用編の対策の仕方にあります。
FP1級学科では、基礎編と応用編の合計で6割を取れば合格です。すべてを完璧に覚えようとするより、応用編を得点源に育て、基礎編で確実に取れる問題を丁寧に拾うことが大切です。

私は「基礎5:応用7」を目指すことを推奨しています。

