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FP1級の勉強時間を調べると、資格スクールのWebサイトでは「500〜600時間」という目安をよく見かけます。一方で、個人の合格体験記を読むと200時間や300時間で合格した例もあり、「結局、自分は何時間かかるのか」が見えにくい試験です。
この差が生まれる理由は、受検者の知識と、FP1級の試験のしくみにあります。

私は会計事務所で働いていた経験があり、タックスと相続の2分野には土台がある状態でした。それでもFP1級の学科試験には、合格まで約300時間かかっています。FP2級が約80時間でしたから、およそ4倍です。
この記事では、FP1級の勉強時間について、「自分の場合はこれくらい」と見当をつけるためのコツをお伝えします。

1級FPライター
イシダ
FP全級を独学で一発合格(1級はきんざい学科→協会実技)/相続とタックスが得意/元・会計事務所/ Lancers金融ライタースペシャリスト認定
FP1級は2級・3級としくみが違う
1級は、3級や2級と試験のしくみが異なります。この違いが勉強方法にダイレクトに関わってくるため、FP1級の勉強時間を考える前に、まずは1級ならではの試験の特徴を知っておかなければなりません。
年3回の筆記試験となる
FP3級は2023年~2024年から、FP2級は2025年から、CBT形式での受検に移行しました。しかしFP1級は、現在も筆記試験です。
開催回数は年3回(5月・9月・1月)であり、いつでも受検できるわけではありません。
学科試験と実技試験が別々に実施される
3級と2級では、学科試験と実技試験を同じ日に受け、両方に合格すれば技能士になれました。
これに対して1級では、学科試験と実技試験が別々に実施され、原則として学科試験に合格するなど一定の要件を満たさなければ、実技試験には進めません。

3級と2級は、学科と実技の受験資格がまったく同じだから、同じ日に受けることもできるし、学科と実技を好きな順番で受けることもできるんだよね?

そうです。
しかし1級は、学科と実技で受験資格が異なります
1級は、学科と実技で受験資格が異なるため、同時に受けられません。しかも実技の受験資格が「1級学科の合格者」などになっているため、「最後は必ず実技」の順番になります。
1級学科試験|基礎編と応用編がある
3級と2級の学科試験であれば、60問の択一式です。実施団体はきんざい(金融財政事情研究会)と日本FP協会の2団体があり、どちらを選んでもよいことになっています。
これに対して1級の学科試験の実施団体は、きんざいのみです。
試験内容は、基礎編と応用編に分かれ、基礎編がこれまでの学科試験と同様の50問の四肢択一式、応用編がこれまでのきんざいの実技と同様に、5題の事例にそれぞれ3つの設問のある計15問の出題形式となります。
| 項目 | 3級・2級 | 1級 |
|---|---|---|
| 出題形式 | 【学科試験】 ・60問の四答択一式 【実技試験】 ・事例形式 | 【学科試験】 ・基礎編:50問の四答択一式 ・応用編:事例5題(各3問/計15問)(計算問題、語群選択、記述など) 【実技試験】 ・別途実施 |
| 合格基準 | 学科・実技それぞれで6割以上の得点 | 基礎編・応用編の合計で6割以上(200点満点中120点) |
1級の勉強時間において、もっとも重要なポイントは、合格基準がこの基礎編と応用編をあわせて6割である点です。
これまでは「学科の択一式でも6割」、「実技の事例問題でも6割」を得点できなければ合格できませんでしたが、1級ではたとえば「基礎で5割、応用で7割」のように、得点の偏りがあっても合格できるシステムに変わります。
実技試験|合格率は約8割
1級の実技試験は、きんざいと日本FPの2団体が実施しています。
きんざいの実技試験は、設例をもとに試験官と質疑を行う「面接」形式です。一方、日本FP協会の実技試験は、3級や2級に近い筆記形式で実施されます。
このように形式がまったく異なりますが、きんざいと日本FP協会が公表している試験結果データでは、合格率はどちらもおおむね8割です。
そのため、学科試験を突破した方にとって、実技試験は大きな壁にはなりにくいといえます。学科試験を突破してから考えても十分間に合うため、まずは学科試験に集中して問題ありません。

私は1月の学科試験に合格し、実技試験は9月に開催される日本FP協会の筆記形式で受検しました。実技試験について調べ始めたのは合格後でしたが、それで十分間に合いました。
▷FP1級実技試験、きんざいとFP協会どっちを受けるべき?選び方を1級FPが解説
FP1級の勉強時間は、実質「学科試験の勉強時間」
FP1級の合格までの道のりで、勉強時間の大半を占めるのは学科試験です。
学科試験は、3級や2級の学科試験と実技試験を合わせたような試験となっており、午前に基礎編(四肢択一式)、午後に応用編(記述式)で、各150分の試験となります。
合格基準は200点満点の6割、120点です。合格率は約12%(回によって変動します)で、FP技能検定のなかで最大の難関といえます。
この記事でも、ここから先は学科試験の勉強時間を中心にお話しします。
FP1級の勉強時間が人によって変わる理由
FP1級の学科試験は、基礎編(四答択一式)と応用編(記述式)で構成され、200点満点の6割で合格となります。出題は2級までと同じ6分野ですが、問われる深さと広さが大きく変わります。
FP1級の勉強時間の目安に大きな幅がある理由は、主に次の要素が関わっていると考えられます。
- 2級の知識が残っているか
- 1級レベルの得点源になる知識があるか
- 基礎編と応用編で伸ばし方が違うことを知っているか
それぞれ見ていきましょう。
2級の知識が残っているか
FP1級の出題6分野は2級と同じです。1級の学習は、2級で身につけた知識の上に積み上げていくことになります。
土台が強固であればあるほど、知識の積上げは効率的に進められます。そのため、2級に合格してすぐ1級の勉強を始められる場合は、勉強時間を短縮しやすくなります。
一方、2級の合格から間があくと、覚え直しの時間が必要になります。1級は上乗せする知識の量が多いため、土台が不安定な場合の差は、2級のときより勉強時間に大きく響きます。
1級レベルの得点源になる知識があるか
1級の出題は各分野とも求められる知識の範囲が広く、2級より深まります。
そのため「2級に受かったときの知識」だけでは得点源になりにくいです。
FP分野を仕事で扱っている方や、関連資格を持っている方であれば、1級でもそれが得点源になる場合があります。
なかでも税務関連の知識は、1級学科でも大きな武器になります。
当サイトで基礎編の出題を調べたところ、タックスプランニングや相続をはじめ、税務に関わる問題は50問中20問前後を占めています。

私は勉強を始めた時点で、タックスと相続の2分野は基礎編の半分ほど正答できる状態でした。
他の4分野は(応用編は全分野において)ボロボロだったので、そこから約300時間かかっています。
基礎編と応用編の「違い」を知っているか
1級の学科試験は、基礎編と応用編で性質が異なります。
基礎編は範囲が広く、テキストで網羅しきれない問題も出題されます。時間をかけた分だけ点数が伸びるとは限らない領域です。
一方の応用編は、事例形式であり、出題パターンがある程度決まっています。
特に事例5題にそれぞれ1問ずつ出題される計算問題は、時間はかかりますが、過去問を5~10年分ほど繰り返し練習することで得点が安定していきます。
つまり、投下した勉強時間に対するリターンが安定しているのは、応用編です。
この違いを知らずに、基礎編を完璧にしようとすると、勉強時間が際限なく膨らみます。
FP1級学科の勉強時間の目安
それでは「自分の場合、何時間くらいかかりそうか」の目安をお伝えします。
1級レベルの得点源がある|300時間〜
6分野のうち、FP1級レベルに対応できる知識をすでに持っている方は、300時間前後から合格を狙える可能性があります。

私は勉強を始めた時点で、タックスと相続の2分野のみ、基礎編の半分ほど正答できる状態で300時間ほどで合格できました。
この経験から目安として、初期状態で基礎編の問題のうち20問前後について選択肢を2まで絞れるようでしたら、勉強時間は300時間ほどに抑えやすいと思います。
2級で学習の土台を固めている|450時間〜
2級の知識はしっかり残っているものの、1級レベルで明確な得点源がない場合は、450時間以上を見ておくと安心です。
FP1級もまた、2級と同じ6分野から出題されるため、2級の土台が強いほど1級のインプットを効率的に進められます。
しかし、1級では制度の細部まで問われることがあり、覚える量は非常に多くなります。2級の土台があっても、得点源になる分野がなければ、このくらいの時間は見積もっておく必要があります。

私の感覚では、基礎編の過去問を見て、正答できる問題や2択まで絞れる問題が5問以下の状態なら、基礎編のインプットにかなり時間を割かなければなりません。これをせず応用編を得点源に育てても合格ラインには届きにくいと思います。
真っ向勝負なら追加50時間〜
FP1級の学科試験は、基礎編と応用編の合計で6割を取れば合格できます。そのため、合格を効率よく目指すなら、出題傾向がある程度決まっている「応用編」を得点源に育て、基礎編は取れる問題を確実に拾う戦略が現実的です。
ただし、パターン攻略の勉強法は「試験のための勉強」になりがちです。
「勉強時間が増えてもいいので、細かい論点をしっかり習得する機会にしたい」という方、パターン攻略を良しとしない方もいるでしょう。
その場合は、少なくとも50時間以上の追加を見ておくことがおすすめです。
なるべく勉強時間を短縮したい場合は、基礎編と応用編の取り組み方が重要です。
FP1級学科の勉強法
FP1級学科の勉強では、基礎編で5割、応用編で7割の得点を目指すことがおすすめです。
基礎編と応用編の詳細な配点が不明なので、やや多めを目指すことをおすすめします。

学科試験の合格証書を見ても基礎と応用の配点はわかりません。
ただ私は、基礎100点/応用100点の計200点と仮定し、さらに各100点を各問に均等に点数を振り分けて自己採点した結果、通知された点数と2点しか変わらなかったので、おおむね均等な感じだと思います。
ここでは、FP1級学科を効率よく進めるための基本的な勉強法を紹介します。
軸になる教材を選ぶ
まずは、軸になるテキストと問題集を決めます。
FP1級は、2級までと比べて市販教材の選択肢が多い試験ではありませんが、大手資格スクールの教材は良質なのでおすすめです。
テキストは、最初から完璧に覚えようとせず、少し読んで「こんな制度やルールがあるのか」と思ったら、すぐにセットの問題集で問題文と答えを見ましょう。
特に自分の興味のある分野でないところは、テキストを読む、講義を流し聞きする、といった受動的な作業だけでは、すぐに忘却の彼方へ消えてしまいます。
そのため、問題文で角度を変えながら、できるだけ自分の中で一つずつの制度やルールを最初に印象付けていくことが大切です。

あくまで基礎編の得点源がない場合の取り組み方です。得点源があるなら不得意分野の深追いはせず、応用編から始めたほうが効率がよいです。
基礎編5割、応用編を7割を目指す
FP1級の学科試験の勉強で特に大切なのが、応用編を得点源に育てることです。
応用編は事例形式であり、計算問題、語群選択、記述問題などで出題されます。知識があっても初見では解きづらい難問ですが、出題のパターンはある程度決まっています。
特に、計算問題はかなり似たパターンが出題されやすく5年分から10年分の過去問を練習しておけば、得点源にしやすくなります。

私は基礎編の勉強から始めたのですが、なかなか終わりがみえず、応用編の開始がかなり遅れました。
そこで初めて応用編が得点源になることに気づき、そこから過去問題集で出題パターンを洗い出し、解法を覚えました。

気づくのが遅かったため完璧とはいえない状態で試験を迎えましたが、それでも5題のうち3題が解いたことのある問題だったので、最終的に基礎編よりちょっと多く得点できました!
直前期は予想問題で仕上げる
FP1級の勉強の最後の一押しが、予想問題集です。

予想問題集は、法改正で狙われやすい論点や、よくでる問題がまとめられています。
対策しにくい基礎編の直前のブースターに最適です。
私も3級から1級まで、すべて予想問題集を直前に解いています。
特に1級学科は合格点ギリギリでした。予想問題集を解いていなければ解けなかった問題もあったため、これがなければ1級は一発合格できていません。
予想問題集は、過去問をしっかり分析して作られているため、どれが出てもおかしくない高精度な問題ばかりです。基礎編は四肢択一ですが、すべての選択肢の〇×判定ができるまでやり込むことがおすすめです。

私が1級の独学に使った市販テキスト、問題集、過去問題集、予想問題集はこちらで紹介しています。
FP1級の勉強時間が「多すぎる」と感じた方へ
ここまで読んで、「FP1級の勉強時間は思ったより多い」と感じた方もいるかもしれません。
しかも、勉強が長期間になると最初に覚えたことは忘れてしまうため、なるべく短期間で合格を目指す必要もあります。
しかし、300時間や450時間、場合によってはそれ以上にもなる勉強時間を、短期で確保できる人は限られます。
そこで知っておきたいのが、1級FP技能士になる他のルートです。
1級の学科試験は、日本FP協会の「CFP資格審査試験」の全6課目に合格することで免除されます。
CFP試験の出題範囲も、FP検定と同様に6課目(金融・不動産・ライフプラン・保険・タックス・相続)ですが、FP検定と異なり、課目合格制になります。

CFP試験では課目ごとに合否判定が行われるため、1課目ずつ合格して全6課目合格を目指すことができます!
1課目あたりの勉強時間の目安は、人によりますが50~60時間と言われており、合格率も1課目あたり35%ほどで安定しています。
まとまった勉強時間を確保しにくい方にとっては、1級学科試験よりもCFP試験を目指すほうが、1級FP技能士の近道になる可能性があります。
こちらの記事で自分に合うルートの選び方を解説しています。
まとめ
FP1級の勉強時間は、人によって大きく変わる主な理由は、2級の知識、1級レベルで得点源にできる分野の有無、そして基礎編と応用編の対策の仕方にあります。
FP1級学科では、基礎編と応用編の合計で6割を取れば合格です。すべてを完璧に覚えようとするより、応用編を得点源に育て、基礎編で確実に取れる問題を丁寧に拾うことが大切です。

私は「基礎5:応用7」を目指すことを推奨しています。

