「1級ファイナンシャル・プランニング技能士」を取得するには、1級の「実技試験」に合格する必要があります。
「実技試験」といえば、2級と3級では学科試験と同時に行われますが、1級では「実技試験」が単独で行われ、申し込みの際に「受験資格」を満たしていなければなりません。
この実技試験の合格率は8割を超えており、試験そのものは難しくありません。しかしこの実技試験の「受験資格」を得るには、多くの人にとって厳しい試験をクリアしなければならないものとなっています。

「受験資格」を得る方法は全部で3つあるよ
間違いなくここがFP試験の最難関なんだ!
今回は、FP1級の受験を検討している方に向けて、実技試験(最終試験)の受験資格を得るための3つのルートを紹介するとともに、どんな人がどのルートに向いているのかを解説します。

1級FPライター
イシダ
FP全級を独学で一発合格/相続とタックスが得意/元・会計事務所/ Lancers金融ライタースペシャリスト認定
FP1級の3つの合格ルート
FP技能士の最上級となる「1級ファイナンシャル・プランニング技能士」を名乗るには、日本FP協会または金融財政事情研究会(きんざい)の「FP1級の実技試験」に合格する必要があります。

試験の内容はFP協会ときんざいで違うけれど、どちらかに合格すれば「1級ファイナンシャル・プランニング技能士」を名乗れます。

どちらかに合格すればいいってところは、2級や3級と同じだね
FP1級の実技試験(最終試験)の受験資格は、以下の3つです。
1 きんざいの「学科試験」の合格者
2 日本FP協会の「CFP試験(全6課目)」の合格者
3 きんざいの「FP養成コース」の修了者+実務経験1年以上
いずれか一つに該当すれば、実技試験(最終試験)を受けることができます。

3つの合格ルートを図にすると、次のようになるよ


さっそく、それぞれの合格ルートの違いを見ていこう!
きんざいの「学科試験」
まずは、きんざいの学科試験の概要をまとめます。
筆者はこのルートで1級に合格しました。
きんざいの学科試験は、次のいずれか1つを満たしていれば受験可能です。
・5年以上の実務経験
・FP2級合格+1年以上の実務経験
・金融渉外技能審査2級合格+1年以上の実務経験

金融渉外技能審査って何?

2001年で終了した、FPの前身みたいな試験になるよ
なので今は「5年以上の実務経験」または「FP2級合格+1年以上の実務経験」のどちらかだね
合格した年度の翌々年度に実施される実技試験(最終試験)まで有効です。
例:2024年度合格→2026年度に実施する試験まで

有効期限があるの!?

そうなんだ
試験の知識を忘れないためにも、合格後は早めに最終試験を受けようね
午前:基礎編(マークシートによる四答択一式)50問
午後:応用編(記述式による筆記試験)5題
合格基準 基礎編と応用編の合計(200点満点)で120点以上

全体で6割正答できればいいんだね
A.ライフプランニングと資金計画
B.リスク管理
C.金融資産運用
D.タックスプランニング
E.不動産
F.相続・事業承継

ここは2級や3級と同じだね
きんざいが公開する試験結果データを参考に、当サイトで過去5年分の合格率を集計しました。結果は以下のとおりです。
・平均値 12.71%
・最低値 3.51%
・中央値 12.76%
・最高値 20.05%
(参考)金融財政事情研究会|試験結果(2021年1月~2026年1月の合格率から算定)

受験者が2級の合格者や実務経験5年以上であるにもかかわらず、この合格率なんだ
難易度は2級とは比べ物にならないことがわかると思う

試験によって合格率にブレがあるみたいだね

そうだね
かつては10%未満もめずらしくなかったけれど、近年の合格率は高めで推移しているよ
特に2024年・2025年に開催された計6回の試験のうち、5回は15%を超えているんだ!

そうなんだ!それでも高くはないね…
年3回(1月・5月・9月)
全国58地域
8,900円
日本FP協会の「CFP試験」
続いて、日本FP協会のCFP試験の概要をまとめます。
・AFP認定者であること
・実務経験の要件なし

AFPって何?

日本FP協会が運営している資格だよ
「2級の合格」と「AFPの認定研修の修了」で、認定の申請ができるようになるんだ
AFP認定は、CFPの試験前の一定の期日までに行う必要があります。
・CFP試験の6課目に合格した年度の翌々年度の試験まで有効
・CFP認定者であれば期限なし
CFPの全6課目に合格すれば、CFP認定者にならなくてもFP1級の実技試験(最終試験)を受けることは可能です。
ただしその場合は、上記のとおり有効期限があります。

それなら、とりあえずCFP認定者になったほうがいいのかな?

1級を取得したいだけなら、「認定は受けず期限内に最終試験を受けよう!」でいいと思うよ
どうせなら「1級+CFP認定者」になるのがお得そうですよね。しかし、CFP認定者は結構大変です。記事の後半の「自分に合ったルートの選び方」で詳しく解説します。
1日目 金融・不動産・ライフ
2日目 リスク・タックス・相続
(試験時間は各2時間)
マルチプルチョイス方式(四肢択一式)各50問、配点は1問2点の均一配点(100点満点)です。
合格ラインは、50問中おおむね30問前後で、試験ごとに上下します。

CBT形式ではなく筆記試験になるよ

試験が2日もあるのはキツいなあ…

大丈夫!
CFP試験は課目ごとに合否を判定するんだ
そのため1課目ずつ受けることもできるよ!
以下の6課目を、1課目ずつ受験することができます。
・金融資産運用設計
・不動産運用設計
・ライフプランニング・リタイアメントプランニング
・リスクと保険
・タックスプランニング
・相続・事業承継設計

合格になった課目はAFP認定者であり続ける限り有効だよ

自分のペースで合格を目指せるんだね

ただ、AFP認定者であり続けるには、年会費の支払いや資格更新のための単位取得が必要になるから、この点には注意しておきたいね
以下、当サイトが日本FP協会が公開する試験結果データを参考に、独自に集計した合格率となります。
| 課目 | 平均値 | 最低値 | 中央値 | 最高値 |
|---|---|---|---|---|
| 金融 | 33.12% | 29.5% | 33.65% | 37.0% |
| 不動産 | 36.81% | 35.4% | 36.15% | 40.0% |
| ライフ | 35.64% | 31.0% | 35.75% | 38.3% |
| リスク | 36.14% | 31.8% | 35.95% | 41.0% |
| タックス | 36.55% | 34.7% | 36.40% | 39.0% |
| 相続 | 35.66% | 31.0% | 35.75% | 39.8% |
(参考)日本FP協会|試験結果データ

合格率が35%前後で安定しているね

CFP試験では合格点が試験ごとに6割を前後するんだけど、理由は合格率を安定させるためじゃないかな?
年2回(6月、11月)
全国24地区

きんざいの学科試験は「全国58地域」。
CFP試験は開催されていない県も多いから、受験生はその点も考慮してみてね
1課目:6,600円、2課目以上の出願:1課目ごと3,300円

1課目3,300円で、1回の受験申し込みごとにプラス3,300円が発生するイメージだね
例:
・6課目一括 23,100円(6課目×3,300円+3,300円)
・3課目ずつ2回 26,400円(3課目×3,300円+3,300円=13,200円を2回分)
・2課目ずつ3回 29,700円(2課目×3,300円+3,300円=9,900円を3回分)

6課目に一度で合格するのが最安だね
ほかにも、AFP認定者になるための費用がかかるよ
AFP認定者にかかる費用
・入会金:10,000円(入会時のみ)
・年会費:12,000円(毎年)
・AFP認定研修のための費用

AFP認定研修は複数あって自分で選べるんだけど、費用は選んだ研修によってバラバラだよ
最安値のAFPの認定研修を筆者も受けてみました。レビュー記事を書いたのでぜひご覧ください。
きんざいの「養成コース」
きんざいの「養成コース」は、職業能力開発促進法に基づく認定職業訓練にあたるものです。
事業主が従業員の職業訓練として申し込めるもので、一般個人で申し込むことはできません。
2026年に開催が予定されているコースは以下の2つです。いずれも講義を受け、修了試験に合格する必要があります。
FP養成コース(通学制)
受講期間:約2か月
開催地:きんざいセミナーハウス(東京都新宿区)
受講料:1,045,000円
(参考)金融財政事情研究会|FP養成コース(通学制)
FP養成コース(1級通信+スクーリング)
受講期間:約5か月
開催地:東京、札幌、仙台、大宮、名古屋、大阪、岡山、福岡
受講料:330,000円
(参考)金融財政事情研究会|FP養成コース(1級通信+スクーリング)

2つのコースで価格が全然違うからびっくりすると思うんだけど、この「FP養成コース(1級通信+スクーリング)」のほうは、2026年から始まる新しい養成コースなんだ
従来からの通学制より受講期間は長いものの、月2回ほど(全52時間)の講義で受講料も3分の1程度になっており、利用しやすくなっています。
勤務先の取り組み次第となりますが、活用できる方はチャンスです。
自分にあった合格ルートの選び方
ここまでのとおり、FP1級の3つの合格ルートには、それぞれ異なる特徴があります。

受験料を抑えやすいルート、自分のペースで学習を進めやすいルート、職場の支援を活用しながら取り組めるルートって感じだね

でもどれが自分にとって最適かわからないよ…
ここからは、それぞれのルートがどのような人に向いているのかを、筆者の考えをもとにお伝えします。
きんざいの「学科試験」がおすすめな人
まずは、この合格ルートのメリット・デメリットを一緒に確認しましょう。
・受験料が安い(8,900円)
・6分野を同時に受けられるため、得意分野で苦手分野をカバーできる
・合格率が低い(約12%)
・まとまった学習時間の確保が必須(一般的に500時間ほど)
・実務経験の要件がある
・コストをなるべく抑えたい人
・まとまった学習時間を確保できる人(試験前は勉強漬けでもOKな人)
・得点源にできる得意分野がある人
きんざいの「学科試験」の最大の魅力は、他の2つのルートと比べるとかなり低コストで受けられる点です。
このルートの次に安いCFP試験ルートでも5万円以上かかるため、1回8,900円で受けられるきんざいの学科試験は、かなりお財布に優しい試験といえます。
ただし、まとまった勉強時間の確保が欠かせません。そのため、「勉強漬けになってもいいから、コストを抑えたい」という人にもっともおすすめです。

勉強時間は、2級に合格した人なら2級の3~4倍くらいの時間を目安にしてみてね

参考までに私の勉強時間をお伝えします
私の場合、スタートラインでは、6分野のうち2分野(タックスと相続)のみ、基礎編(択一式)の半分ほどを正答できる感じでした。他の4分野と応用編はボロボロの状態です。この状態から、300時間くらい勉強して合格点ギリギリでした。

FP2級は80時間くらいで合格できたので、FP2級の4倍近い勉強時間がかかったことになります…
この試験は全体で6割正答できればよく、分野ごとの得点基準がありません。
そのため、得点源にできる分野がある人にはおすすめです。

私はどうしてもコストを抑えたかったので、このルートにしました
ちなみにこちらの記事で、私が使ったおすすめの市販テキストを紹介しています。
日本FP協会のCFP試験がおすすめな人
続いて、CFP試験のメリットとデメリットを確認しましょう。
・1課目ずつ自分のペースで受験できる
・課目ごとの合格率が高い(約35%)
・実務経験の要件がない
・受験にかかる費用がきんざいの学科試験に比べて高い(5万円以上。長引くほどかかる)
・自分のペースで勉強したい人
・実務経験に該当する経歴がない人
CFP試験では、1課目ずつ受験して6課目の合格を目指すことができます。
問題はすべて四肢択一式で、1課目に必要な勉強時間は50~60時間とされていることから、仕事やプライベートのスケジュールにあわせて学習ペースを調整できる点が魅力といえます。
また、1課目ごとの合格率は35%ほどで、それほど低くありません。
そのため、一発勝負で12%しか合格しないきんざいの学科試験よりは精神的に落ち着いて取り組むことができるはずです。

とはいえ、多くの人は1度に複数課目の合格を狙うから、決してラクな試験という意味ではないよ
それに得意じゃない課目でも単体で合格点を取らないといけないからね
CFP試験では6分野それぞれで合格水準に達しなければならないため、得意分野を伸ばしてもあまり意味がありません。
苦手課目を克服しなければならない点は、きんざいの学科試験にはないハードルです。

難易度の面で、きんざいの学科試験との単純比較はできないね
CFP試験ルートのもう一つの利点は「実務経験なし」で受験できることです。

3つの合格ルートのうち実務経験なしでもOKなのは、このCFP試験ルートだけなんだ
学生さんでも「3級→2級→AFP認定→CFP→1級」の順で受けられるよ
「実務」にはさまざまな業務が認められます。「本当はきんざいの学科試験が受けたいのに…」という方は「実務」に該当する業務を確認しましょう。

メリットはわかったけど、CFP試験ルートだときんざいの学科試験より費用がかかるってところは気になる…

あくまで「受験料のみ」を比較すればそうだよね
ただ、きんざいの学科試験はまとまった勉強時間が必要だから、それなら通信講座に申し込んで効率的に勉強しようとする人もいるんじゃないかな
「CFP試験なら独学でマイペースに取り組むけれど、学科試験なら通信講座を申し込む」という判断になる人もいるでしょう。
そうなった場合、コストは逆転することもありえます。

通信講座って、だいたい数万円はかかるもんね
独学でもチャレンジしやすいことを考えると、受験料だけで比べられないところもあるね

ちなみに、CFP試験ルートなら最終的に1級FPとCFP認定者の両方になれてお得じゃないかって思うんだけど…

そこも整理しておこう!
結論からいうと、CFP認定には他にもクリアしなければならない条件があるよ
6課目の合格はCFPの入口に過ぎないんだ
「CFP認定者」になるには、6課目に合格した後、エントリー研修の受講、3年以上の実務経験(別途研修で代替可)といった要件を満たし、入会金(5,000円)を支払う必要があります。
そして認定を受けた後は、年会費2万円(FP協会の会費12,000円+CFP年会費8,000円)を払いながら、2年ごとの資格更新のために自己負担で単位を取得する必要があります。

そっか…
「とりあえず登録しとくか」ってノリでいける感じじゃないね

そうなんだ
「両方名乗れるなら、受験料くらいちょっと多めに払ってもいいや」って人はいると思うんだけど、「資格を維持するのも結構大変」っていうところまで知ったうえで比較しないとね
とはいえ、継続的な学習の機会を得なければ、FP関連の知識はどんどん古くなります。自分に厳しく学習を続けるために、1級+CFP認定者をこのまま目指すのもありです。

後からCFP認定者になりたくなった時、いつでも6課目合格の状態から手続きを始められるの?

6課目合格の状態はある程度は維持できるけど、永久ではないんだ
6課目合格はAFP認定者でいる間は有効ですが、2028年度からは期限内(※)に登録しなかった場合、失効するルールが追加されます。
また、現行の制度でも、AFP資格の未更新によって協会の有料会員から一般会員に移行した場合や、協会を退会した場合にも、課目合格が失効するルールがあります。

ずっと「CFP全課目合格者」ではいられないんだね
(※)2028年度以降の試験で6課目に合格した場合、CFPに5年内に登録しなければ合格が失効します。

1~5課目に合格している状態を維持するのにも、AFP認定者であり続ける必要があるよ
職場の支援があるなら「養成コース」
きんざいの「養成コース」は、個人では申し込めないため利用できる人は限られ、受講料も高額となっています。
人材開発支援助成金の対象になる場合もありますが、全額は補てんされません。
しかし、こうしたコースを活用できれば、勉強に集中して取り組めるメリットがあります。
特にFP1級の範囲は膨大であるため、学習スケジュールや進捗度の管理も重要です。自分一人では学習を継続しづらい方にとって、こうしたコースの受講はチャンスといえます。
また、2026年11月に開講される「FP養成コース(1級通信+スクーリング)」における講義の総時間数はたったの52時間となっています。
別途試験はあるものの、利用できればかなり効率的に1級を取得できるチャンスです。
まとめ
FP1級の実技試験(最終試験)の受験資格を得るルートには、それぞれ異なる特徴があります。
コストを抑えたいなら「きんざいの学科試験」、自分のペースで学習を進めたいなら「CFP試験」、そして職場の支援を受けながら効率的に進めたいなら「養成コース」といったように、自分の状況にあわせて選ぶことが重要です。

どのルートを選んでも、その過程で得られる知識が仕事やプライベートで役立つことは変わらないよ
「どのルートが一番すごいか」を考えるよりも、「自分が最後まで走り切れる方法はどれか」を基準に選ぶことが大切です。
FP1級の取得を目指している方は、ぜひ自分にあったルートを選び、計画的に学習を進めてみてください。

