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税理士や公認会計士の先生がダブルライセンスとして1級FP技能士を目指す場合、主な合格ルートは、次の2つです。
- きんざいの1級学科試験に合格して、実技試験に合格する
- CFP試験の全6課目に合格し、1級学科試験の免除を受けて、実技試験に合格する
この記事は、どちらを選ぶべきか迷っている先生に向けた記事です。
結論からいうと、1級FP技能士を肩書きに加えることだけが目的であれば、「きんざい学科ルート」一択です。資格取得までにかかる費用を抑えられ、しかも試験は税務の知識をより活かしやすいものとなっています。
ただし、状況によってはCFPルートが向いている場合もありますので、その場合もお伝えします。

1級FPライター
イシダ
FP全級を独学で一発合格(1級はきんざい学科→協会実技)/相続とタックスが得意/元・会計事務所/ Lancers金融ライタースペシャリスト認定
FP1級技能士の合格ルートは実質2つ
1級FP技能士までの合格ルートは、上図のとおり全部で3つあります。

一番下の「きんざいのFP養成コース」は、1級学科試験の免除を受けるルートです。認定職業訓練として、事業主が従業員のために申し込む制度であり、実質的な選択肢は、次の2つになります。
- きんざいの1級学科試験に合格して、実技試験に合格する
- CFP試験の全6課目に合格し、1級学科試験の免除を受けて、実技試験に合格する

まずは、2つのルートの違いを整理してみましょう。
きんざい学科ルートとCFPルートの比較
きんざい学科ルートとCFPルートでは、1級FP技能士になるまでに必要な費用などが異なります。(2026年6月時点)
| 項目 | きんざい1級学科 | CFP(6課目) |
|---|---|---|
| 受験資格 | 次のいずれか ・実務経験5年以上 ・FP2級+実務経験1年以上 | 次のいずれか ・AFP認定者であること ・指定大学院の修了者であること |
| 試験範囲 | 6分野(ライフプラン・リスク管理・金融資産運用・タックス・不動産・相続事業承継) | 6課目(内容は同じ) |
| 試験形式 | 基礎編(四答択一50問)+応用編(記述5題) | ・四肢択一50問 ・課目合格制(全6課目) |
| 試験方式 | 筆記(基礎編マークシート・応用編記述) | 筆記(マークシート) |
| 試験日時 | ・年3回(1月・5月・9月) ・基礎編150分(午前)、応用編150分(午後) ・一日で終わり | ・年2回(おおむね6月・11月) ・1課目120分 ・3課目ずつ2日に分けて実施(例年、連続する日曜2回で実施) |
| 合格基準 | 200点満点・120点以上(6割・配点は非公開) | 各課目50問中30問前後(6割前後) |
| 過去5年の平均合格率(※) | 約12.71% | 1課目あたり約35.65% |
| 受験~1級合格までの費用 | 約28,900円~36,900円 | 約105,100円~113,100円 |
(※)過去5年間の平均合格率は金融財政事情研究会と日本FP協会の試験結果(2021年1月~2026年1月)をもとに当サイトで集計。
きんざい学科は、6分野を一度に受検して全体で6割以上を取れば合格です。これに対し、CFP試験は課目合格制です。1課目ずつ受験することも、6課目をまとめて受験することもでき、課目ごとに合格基準を満たす必要があります。
この試験方式の違いが、税理士・公認会計士の先生にとっては判断材料の1つになります。
税理士・公認会計士にきんざい学科ルートが向いている理由

税理士や公認会計士の先生が、1級FP技能士のみを目指すのであれば、基本的にはきんざい学科ルートがおすすめです。主な理由は、次の2つです。
- CFPルートより費用を抑えやすい
- 税務の知識で他分野の得点不足をカバーできる
費用を抑えやすい
1級FP技能士になるまでに必要な費用を抑えやすいのは、きんざい学科ルートです。
| 比較項目 | きんざい学科ルート | CFP試験ルート |
|---|---|---|
| 受験資格 | 次のいずれか ・実務経験5年以上 ・FP2級+実務経験1年以上 | 次のいずれか ・AFP認定者であること ・指定大学院の修了者であること |
| AFP認定の費用 | 不要 | ・AFP認定研修の受講料:約4万円(※) ・FP協会の入会金10,000円+年会費12,000円 (※)指定大学院修了者を除く |
| 受験料 | ・1級学科8,900円 ・1級実技28,000円(きんざい)/20,000円(FP協会) | ・23,100円〜(1課目3,300円+申し込みごとに3,300円) ・1級実技28,000円(きんざい)/20,000円(FP協会) |
きんざい学科ルートの試算
1級学科:8,900円
1級実技:20,000円または28,000円
合計:約28,900円~36,900円

私自身もこのきんざい学科ルートにて、学科8,900円と日本FP協会の実技20,000円のみで1級FP技能士になりました。研修費・入会金・年会費などはかかっていません。
CFPルートの試算
AFP認定研修:約40,000円
日本FP協会入会金:10,000円
年会費:12,000円
CFP試験6課目一括:23,100円
1級実技:20,000円または28,000円
合計:約105,100円~113,100円
両ルートの差は約7万円です。この差の主な理由は、CFP試験を受けるために必要となる「AFP認定」の費用にあります。
この記事では、AFP認定研修を「税理士課程」で受ける場合の価格を目安に試算しています。
なお、他の課程でAFP認定研修を受講することで、費用を抑えられる可能性があります。
▷税理士課程より2級を取るほうが得?税理士・会計士のAFP認定研修を検証
税務の得点で他分野の得点不足をカバーできる
きんざい1級学科試験の過去5年の平均合格率は、約12.71%です。直近2年では6回中5回が15%を超えていますが、過去には3.51%まで落ちた回もあり、実施回による振れ幅が大きい試験です。一般の受験者からは「CFPよりも難しい試験」と認識されることもあると思います。
しかし、税理士・公認会計士の先生方にとっては、この一般的な評価がそのまま当てはまりません。なぜなら、きんざい1級学科試験では、出題のおおむね4割が税務に関係するためです。
基礎編では50問のうち、「タックスプランニング」から8問ほど、「相続・事業承継」から9問ほど、さらに他分野で1~2問ほど出題されます。応用編では5つの事例に各3つの設問があります。5つの事例のうち、2つは「タックスプランニング」と「相続・事業承継」です。また、不動産の事例にも、譲渡所得や特例などの税の問いがおおむね1問あります。
まとめるとこうなります。
| 試験区分 | 全体 | 税務関連の目安 |
|---|---|---|
| 基礎編 | 50問 | 18~19問ほど |
| 応用編 | 15問(5題×3問) | 7問ほど |
| 全体 | 基礎編+応用編 | おおむね4割 |
(※)金融財政事情研究会が公開する1級FP技能検定学科試験の過去問をもとに、問題数ベースで当サイトが集計。
きんざい学科試験は、基礎編と応用編を合わせた総得点が6割以上であれば合格できます。配点は明かされていませんが、すべての分野で均等に得点する必要はありません。税務で得点できれば、他の分野で得点できなくても、全体で合格点に届く可能性があるのです。
これに対し、CFP試験は課目ごとに合否が決まります。税務系の課目で高得点を取っても、他分野の得点不足を補うことができません。
つまり、税務を得点源にして全体で6割を目指せることは、税理士や公認会計士の先生方にとって、勉強時間を短縮できる大きなアドバンテージとなるのです。
得点を伸ばすコツ
とはいえ、合格基準は6割なので、税務以外の分野でも得点が必要です。ちなみに、1級学科試験の合格に必要な勉強時間は、よく300時間から500時間といわれています。これは2級合格から1級に進んでいる受験者の平均と考えられます。つまり、6分野の基礎を終えている状態からの勉強時間です。

実際に税理士の先生の合格体験ブログなどを拝見しても、300時間くらい勉強して試験にのぞまれているようです。
では、得点源となる分野があり、あと少し手堅く得点を増やしたい場合、どうすればよいかといえば、応用編の計算問題の出題パターンを押さえることです。
基礎編は、出題範囲が非常に広い試験ですので、入念に勉強しても初見問題がでてくるでしょう。一方、応用編は、ある程度、出題しやすいテーマが決まっています。その中でも、各事例に1問ずつ出題される「計算問題」はパターンが限られており、学習時間に対するリターンは、基礎編よりも高いです。
そのため、合格点まであと少し点を伸ばすなら「応用編」、特に計算問題に力を入れることがおすすめです。

私自身、この方法で得意科目と計算問題を得点源にし、300時間の勉強で学科試験に一発合格できました。
このように、コストを抑えながら効率よく1級FP技能士の肩書きを手にするなら学科試験がおすすめです。ただし、先生の状況や資格への価値観によっては、CFPが向いているケースもあります。
CFPルートが向いている4つのケースとは
費用と税務のアドバンテージだけを考えると、税理士・公認会計士の先生にはきんざい学科ルートが有利です。しかし、次のような場合は、CFPルートが向いています。
- 事務所が多忙で、まとまった学習時間を確保しにくい
- 税務以外の分野を丁寧に学びたい
- CFP認定者にもなりたい
- 希少なCFP6課目一括合格に挑戦したい
まとまった学習時間を確保しにくい場合
きんざい学科試験は、6分野を同じ日に受験します。学習期間を長く取りすぎると、初期に覚えた内容を忘れてしまうため、ある程度まとまった期間に集中して仕上げなければなりません。多忙な事務所の先生にとっては、繁忙期を避けて数百時間の勉強時間を確保すること自体が難しい場合もあるでしょう。
一方、CFPは課目合格制です。1課目あたりの合格率はおおむね35%前後であり、一般的な勉強時間は1課目50~60時間ほどとされています。1回の試験で1~3課目ずつ受験すれば、学習時期を分散できます。一度合格した課目は、AFP認定者である限り維持されます。
仕事の都合に合わせて少しずつ合格課目を積み上げられる点は、CFPルートにしかない大きなメリットです。

初めて学習する分野や力を入れたい分野については、一般的な勉強時間よりも多めに見積もったほうが安心です。
税務以外の分野を丁寧に学びたい場合
税理士や公認会計士の先生がFP試験の勉強において、税務や会計の知識を伸ばせる余地はあまりないと考えられます。せっかくFP資格を取得するなら、社会保険や労働保険、民間の保険、金融商品、不動産など、税務以外の分野に時間を使いたいと考える先生もいらっしゃるでしょう。
その場合は、CFP試験の課目合格制が役立ちます。CFPは、各課目でそれぞれ合格基準を満たさなければならないためです。
もちろん、1級学科試験も税務以外を学ぶ機会になります。しかし、6分野の試験範囲があまりに広いため、丁寧に学習して試験日に間に合わせるのは困難です。時間が足りず、最終的には得意分野と計算問題のパターン暗記で得点を稼ぐ戦法になりがちだと思います。

私もこの戦法で300時間で合格しました。その結果、不得意だった分野は今でも基礎すらあやふやで苦手なままです。

力を入れる分野が偏ったからだね…
FP資格の特徴は、6分野の知識を組み合わせた提案ができることにあります。一つ一つの分野を深く掘り下げることではなく、6つを横断的に学べることこそがFP資格の価値だと思います。

そう考えると、得意分野とパターン暗記に集中した攻略は、検定の趣旨から外れていたかもしれないとも思います。あくまで個人的な考えです。
また、パターン暗記は、時間さえかければ誰でも得点できる方法です。FPの学習を、他分野を習得する機会にしたい先生方にとって、得意分野とパターン暗記で点を稼ぐ方法では、モチベーションを維持しにくいかもしれません。
「CFP認定者」になりたい場合
「1級FP技能士」を名乗るには、きんざい学科ルートとCFP試験ルートがあります。しかし、「CFP認定者」を名乗るには、CFP試験の全6課目合格が不可欠です。
全6課目に合格した後、エントリー研修(無料)を修了し、6分野に関連する実務経験を通算3年以上有するという要件を満たすことで、CFP認定を受けられます。
つまり、CFP試験の全6課目に合格すれば、1級FP技能士を目指せるほか、所定の要件を満たすことでCFP認定者にもなれます。一方、1級学科試験に合格しても、取得できるのは1級FP技能士のみです。
| CFP認定者 | 1級FP技能士 | |
|---|---|---|
| レベル | ・米国をはじめ世界各国・地域で認定されている国際的な認定資格 ・日本FP協会が「FPの頂点とも言える」とする資格 | ・職業能力開発促進法に定められた技能検定「ファイナンシャル・プランニング技能士」の最上位 |
| 取得後の維持費 | ・年会費20,000円(12,000円+CFP会員分8,000円) ・2年ごとの更新に必要な単位取得費(目安:1万円前後) | なし |
| 資格更新 | 2年ごとに必要 | 不要 |
| 特徴 | 継続的な学習と国際的な資格名称 | 一度合格すれば生涯有効 |
CFP認定者は、日本FP協会への会員登録や2年ごとの資格更新が必要となり、会費の支払いや資格更新のための費用と手間が発生し続けます。一見するとデメリットにも思えますが、メリットもあります。
たとえば、更新単位を取得するための研修や勉強会を通じて、他業種の専門家と交流する機会を得たり、会員限定の「FPジャーナル」などのコンテンツを利用し、税務以外の情報を継続的に収集したりすることが可能となります。
選ぶかどうかは目的しだいです。「FP分野を実務で活かしたい」「知識をアップデートしながら維持したい」といった方には、CFPが向いているでしょう。
「最難関」に挑戦したい場合
CFP認定者と1級FP技能士の難易度に、公式な上下関係はありません。ただし、FP試験のなかで今もっとも合格率が低い挑戦は、CFP6課目の一括合格です。過去5年における6課目一括受験者の合格率は、平均約9.5%となっています(1級学科試験の平均は約12.71%)。
| 年度 | 回 | 全受験者 | 全6課目一括の受験者(A) | 6課目一括合格者(B) | 合格率(B)/(A) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2025年度 | 第2回 | 10,538 | 148 | 14 | 9.5% |
| 2025年度 | 第1回 | 11,253 | 158 | 21 | 13.3% |
| 2024年度 | 第2回 | 11,169 | 138 | 11 | 8.0% |
| 2024年度 | 第1回 | 11,845 | 181 | 20 | 11.0% |
| 2023年度 | 第2回 | 11,925 | 153 | 15 | 9.8% |
| 2023年度 | 第1回 | 12,625 | 187 | 21 | 11.2% |
| 2022年度 | 第2回 | 11,694 | 154 | 7 | 4.5% |
| 2022年度 | 第1回 | 12,428 | 199 | 15 | 7.5% |
| 2021年度 | 第2回 | 12,570 | 221 | 22 | 10.0% |
| 2021年度 | 第1回 | 12,704 | 274 | 27 | 9.9% |
(※)日本FP協会の公表データをもとに当サイトが集計したもの。

すっくないね~

ざっくりですが、CFP受験者は毎回1万人を超えています。このうち、6課目一括合格に挑戦するのは200名前後で、成功者が20名前後となります。

「1課目ずつ受けられる」というせっかくの利点を自ら手放す強者がいるのか…
6課目を一度に受けて合格すれば、受験料は最少額に抑えられます。CFPの受験料は「課目×3,300円」に、試験を1度申し込むたびに「+3,300円」がかかるしくみです。
たとえば、6課目一括合格なら受験料は23,100円です。一方、6月と11月に3課目ずつ受験する場合は、26,400円になります。
【6課目一括】
3,300円×6課目分+3,300円=23,100円
【3課目ずつ、2回】
3,300円×3課目分+3,300円=13,200円
13,200円×2回=26,400円
日本FP協会では、CFP試験のたびに、全体の受験者数と課目ごとの合格率とは別に、6課目一括受験者とその合格者の人数も公表しています。この数字だけを別に集計して公表しているところに、日本FP協会が挑戦者へ敬意を払っているような印象を受けます。

名前が発表されるわけじゃないけど、本当にすごいと思う。
まとめ|きんざい学科とCFPは、目的と学び方で選ぶ
1級FP技能士の取得だけが目的であれば、税理士・公認会計士の先生方は、きんざい学科ルートが向いています。AFP認定研修や日本FP協会への入会が不要で、CFPルートより費用を抑えられる上に、これまで培ってきた税務の知識を得点源として活用できます。
一方、きんざい学科試験は6分野を一度に仕上げる必要があります。学習時間を分散したい方や、税務以外の分野を一つずつ丁寧に学びたい方には、CFPルートが向いています。
- 1級FP技能士だけを取得したい
- 費用をできるだけ抑えたい
- 数か月間、まとまった勉強時間を確保できる
- 税務を得点源にして効率よく合格を目指したい
- 資格取得後の年会費や更新を避けたい
きんざい学科試験を選ぶ場合は、基礎編のインプットだけでなく、応用編の計算問題を早めに確認しておくことが重要です。応用編は出題パターンに特徴があるため、過去問を中心に繰り返し解き、解法を身につけましょう。
- 仕事の都合に合わせて、1~3課目ずつ受験したい
- 税務以外のFP分野を丁寧に学びたい
- CFP認定者と1級FP技能士の両方を取得したい
- 資格取得後も継続してFP分野を学びたい
- 6課目一括合格に挑戦したい
CFP試験を受けるには、原則としてAFP認定者であるか、日本FP協会が指定する大学院の所定課程を修了している必要があります。AFP認定者になる場合、税理士・公認会計士の先生方はAFP認定研修の「税理士課程」を利用できます。こちらの記事で解説しています。
