税理士課程より2級を取るほうが得?税理士・会計士のAFP認定研修を検証

AFP認定研修の税理士課程は、税務科目が免除されるのになぜ高いのかを解説

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AFP認定研修の3つの課程を価格で並べると、税理士課程の価格が高めなことに違和感を覚えた先生方がいらっしゃるのではないでしょうか。

「税務科目の講義が免除されているはずなのに、なぜか免除のない基本課程よりも高い」

「それなら、2級を取って技能士課程でAFP認定を受けたほうが得では……」

「意味がわからないから、きんざいの学科試験受けるわ」

この記事では、税理士課程の価格差を解明すべく、すべての認定研修の講座を一つひとつ確認した筆者が、その所感をお伝えします。

CFPや1級FP技能士の合格ルート選びのお役に立てば幸いです。

この記事を書いた人

1級FPライター

イシダ

プロフィール

FP全級を独学で一発合格(1級はきんざい学科→協会実技)/相続とタックスが得意/元・会計事務所/ Lancers金融ライタースペシャリスト認定

税理士課程に対する2つの疑問

まずは3つの課程を、価格と中身で比較します。(2026年6月時点)

項目基本課程技能士課程税理士課程
対象FP2級に合格していない者FP2級の合格者税理士・公認会計士の登録者
実施団体数14団体9団体6団体
価格帯2万円台〜21万円台1万円未満〜2万円台4万円台〜7万円台
研修期間1〜5か月1か月程度1〜3か月
研修内容FPの講義+提案書課題提案書課題のみFPの講義(税務2科目免除)+提案書課題
AFP認定要件研修修了+2級合格2級合格+研修修了研修修了のみ

気になる点は2つ!

税理士課程の気になる点
  1. 講義の一部免除がある税理士課程が、免除のない基本課程よりも高いこと(最低価格が4万円台であること)
  2. 安くて早い「技能士課程」のほうが「税理士課程」よりお得そうに見えること

以下、一つずつ解説します。

税理士課程が高く見える理由

税理士課程は基本課程よりも受講する科目が少ないのに、受講料は高い傾向にあります。その理由は、講座を実施している団体の違いにあると考えられます。

各講座を確認したところ、税理士課程の実施団体は大手の資格スクールが多く見られました。各地に「◯◯校」みたいな展開をしているスクールです。

一方で、基本課程や技能士課程には、eラーニングを中心とするWeb学習専門の資格スクールも参入しており、大手の資格スクールと比べて受講料を安く抑えている傾向が見られました。

実際、大手資格スクールでも、基本課程の受講料は税理士課程より低く設定されています。ですが、基本課程にはそれ以上に安い講座があるため、講座ごとに比較すると基本課程のほうが安く見えるのです。

【大手資格スクールとeラーニング系の価格(2026年6月時点)】

実施団体基本課程税理士課程
A社66,000円41,800円
B社74,800円51,700円
C社98,000円78,000円
eラーニング系の数社2万円台なし
最低価格2万円台〜4万円台〜

「税理士課程が高い」というより、基本課程や技能士課程に安い講座がそろっているぶん、最安値どうしの比較で高く見えている。

これが実態だと思います。

なるほど…

でもまあ、4万円台はやっぱり安くはないよね……

技能士課程が安くて早い理由

ここまでは基本課程と税理士課程を比較した話でしたが、技能士課程には1万円未満の講座もあり、研修期間も1か月ほどの短期となります。

技能士課程がこれほど安くて早い理由は、技能士課程だけがFP2級合格者を対象としているためです。

AFP資格には独自の試験がなく、2級合格が資格審査試験の代わりになります。

そのため、2級合格者の技能士課程はFP科目の講義をする必要がなく、提案書課題のみで修了となります。なかには10日程度で修了証明を出せる講座もあります。実際に筆者が受けた技能士課程がそうでした。

▷私が受けた認定研修(技能士課程)のレビュー記事はこちら

FP資格の特徴は、知識の深さではなく6分野(ライフプラン・リスクマネジメント・金融商品・タックス・不動産・相続)の組み合わせにあります。税務の専門家であっても、それ以外の分野の習得を講義という形で担保できなければ、認定が受けられない設計になっているのです。

結局、どっちが得なの?

受講料の安さのみで、税理士課程と技能士課程の優劣は比べられません。

なぜなら、技能士課程は認定研修を受けるまでに、FP2級に合格するための受検料(11,700円)教材代を負担しているためです。

これらを足し合わせると、税理士課程との費用の差はおよそ1万円から1万5千円ほどまで縮まります。

1.5万円も安いのはちょっと魅力的だけどね。

でも、もしこの価格差が気にならないなら、結局どうやって選べばいいの?

2級レベルの知識をどうやって習得したいか」で選ぶとよいと思います!

税理士課程と技能士課程を選ぶポイント

税理士課程と技能士課程の違いは、結局のところ、価格や期間ではありません。

2級レベルのFP分野の知識を、2級検定に向けた自学で身につけるか、講座で身につけるかという、学びのスタイルの違いです。

自分でテキストを読んで勉強を進めたいって人もいるだろうし、講義動画を流しながら学びたいって人もいるだろうね。

どちらにするかは、2級の難易度にもよるかなあ…

そうだね。

たぶん一般的には「市販テキストなどでの自学が難しい資格なら、もっとお金を払って講義を受ける」という選択になるよね。

2級はよく「実務レベル」と言われます。ここで具体的な難易度も確認してみましょう。

FP2級の難易度

実際にどのような問題が出題されるのか、タックスプランニングの問題を一つ見てみましょう。

所得税における医療費控除に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、「特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例」は考慮しないものとする。

  1. その年中に実際に支払った医療費が医療費控除の対象となり、未払いとなっている医療費は実際に支払われるまで医療費控除の対象とならない。
  2. 給与所得者は、年末調整により医療費控除の適用を受けることができる。
  3. 医師等による診療等を受けるために電車、バス等の公共交通機関を利用した場合に支払った通院費で通常必要なものは、医療費控除の対象となる。
  4. 医療費控除の控除額の計算上、医療費の補填として受け取った保険金は、その補填の対象となった医療費の金額を限度として、医療費の金額から差し引く必要がある。

正解:2


出典:2級ファイナンシャル・プランニング技能検定 学科試験 2026年5月公表分

この難易度をどのように感じるでしょうか。やはり、会計事務所の年末調整や確定申告の入力を担当するスタッフなら、入所1年目でも知っておいてもらいたい内容ではないでしょうか。

このように2級は、重箱の隅をつつくような問題ではなく、「その分野の業務に直接関わる人にとっては基本となる知識」がメインといえます。

税務以外の分野をどうやって習得するか

ただし、一つひとつは基本知識であっても、同じレベルで他の分野まで習得しなければならない点がFPの難しさです。

そうなるとやはり、これらの知識を一つの講座でまとめて学べる税理士課程は、かなり利便性が高いといえます。特に大手資格スクールの税理士課程であれば、講義や教材のクオリティも期待できるところです。

一方で、「このレベルなら他分野も自分で習得できそう」「少しでも費用を抑えたい」「部分的に知識のある分野があるから、2級で腕試ししたい」と考える場合は、先に2級に挑戦し、技能士課程を修了する選択もよいでしょう。

結局は、税務以外の分野をどうやって習得したいかです。

どちらで習得しても、その後のCFP試験や1級FP技能士の土台になることに変わりはありません。

この「学習スタイルの違い」の視点で選べば、後悔はないと思います。

一点、誤解しないようにしておきたいのが、税理士課程の講義はあくまで「2級レベル」となります。この講義がCFPや1級FP技能士まで網羅しているものではないことに注意してください。

ここまでを踏まえると、それぞれ向いている人は次のように整理できます。

税理士課程が向いている人

「講義でひととおり基礎を固めたい」「2級の受検そのものは避けたい」という方

2級→技能士課程が向いている人

「費用を少しでも抑えたい」「自分のペースで教材を読み進めたい」「せっかくなら2級で腕試しもしたい」という方

FP2級では約4割が税務

もし税理士や会計士の先生が技能士課程を選ぶなら、2級を自分で受けることになるよね?

会計人が初めてFPを受けるときのポイントみたいなのはあるの?

2つあります。

①税務会計がどのくらい出題されるか、②どの団体の実技試験を選ぶかです。

FPには学科と実技がある

FP2級の試験には学科と実技があり、両方に合格する必要があります。「実技」とありますが、学科と実技のどちらもパソコンを使って解答するCBT形式

試験は別々に申し込めますが、特にそうするメリットはないため、おそらく1日で時間をずらして申し込む人が多いと思います。

項目学科試験実技試験
受検手数料5,700円6,000円
試験時間120分90分
合格基準6割以上6割以上

電卓についてですが、3級・2級はCBT試験なので持ち込めません。画面に表示される計算機を使用します。

CFP試験やFP1級の学科試験は、電卓持ち込みOKです。

関数計算機能(Σ(シグマ)、log等)、複利計算・ローン計算機能のある電卓は不可とされています。

学科:約4割が税務系

FP2級の試験機関には「金融財政事情研究会(きんざい)」と「日本FP協会」が指定されています。学科試験については、どちらで申し込んでも試験内容はまったく同じです。

学科は全60問で、合格ラインは6割(36問)になります。

このうちほぼ税務となる「タックスプランニング」と「相続・事業承継」からの出題数は、全20問です。

  • タックスプランニング(10問:所得税・法人税・消費税・これらに関する地方税)
  • 相続・事業承継(10問:関連する民法や会社法の出題も2、3問あり)

また、他の各分野でも税制の出題が0〜2問あります。( )は問われやすい税制です。

  • ライフプランニング(公的年金の税制)
  • リスクマネジメント(保険料の所得控除)
  • 金融商品(金融商品の確定申告不要制度、NISA)
  • 不動産(所得税の譲渡所得の特例など)

参考までに2026年5月公表分の問題では、他の4分野からの税制出題は計6問でした。これらを合わせて計算すると、問題の約4割(26問/60問)が税制に関する問いになります。

実技試験おすすめはきんざいの「中小事業主資産相談業務」

実技試験は申し込む試験団体によって問題が変わるため、きんざいと日本FP協会のどちらに申し込むかも重要となります。

きんざいの場合、得意業務に合わせた4パターンの問題を選べます。会計人へのおすすめは、きんざいの「中小事業主資産相談業務」です。

きんざいの実技は、事例形式の大問が5題あり、それぞれ3問ずつ、全15問を解答します。

中小事業主資産相談業務では、3問がタックス、3問が相続・事業承継となり、不動産からもおおむね1問の税制が出題されます。そしてライフプランニングでは、小規模企業共済・中小企業退職金共済・経営セーフティ共済といった、中小企業支援に関する制度がおおむね1問出題されます。つまり、15問中8問ほどを税務の知識やふだんの業務知識で得点できることになります。

実技試験も6割の得点で合格となります。ただし、配点は明かされていません。

学科も実技も、税務のプロフェッショナルである先生方は、税務の持ち点でゆとりをもって受検できると思います。

ただ、税務を軸に無双しても、たぶん先生方にとっては全然面白くない試験です。せっかくなら他分野で興味のあるものに時間を投入するほうが、きっと充実した時間になると思います!

2級の取得にかかる期間

筆者
筆者

2級の勉強時間は一般に100〜200時間と言われます。私はタックスと相続・事業承継の2分野にそれほど時間をかけずに済む状態でしたので、80時間ほどで2級に合格しました。

丁寧にやろうと思えばいくらでも時間をかけられるFPですが、合格を目標にするなら、先生方がこれより多くの時間を要することはないと思います。

なお、2級の試験は2025年4月からCBT形式に変わりました。会場の席が空いていれば、最短で3日後の試験に申し込むことも可能です。試験を行っていない期間は、年末年始と、3月末と5月末の1週間程度のみです。それ以外は曜日に関係なく受検できます

合否発表は、翌月中旬です。

たとえば7月から勉強を開始して8月末までに試験を受ければ、9月中旬に合否が確定します。そこからAFP認定研修の「技能士課程」を申し込めば、早いものなら9月中に研修を修了することも可能です。

技能士課程の選び方

2級に合格した後の技能士課程は、「提案書課題」を提出して合格点を取るのみです。

新たにFP科目の知識を習得するコースではないため、最安クラスの講座を選んで問題ありません

私が選んだ講座は、最安クラスで10日ほどで修了できました!

こちらの記事でその認定研修をレビューしています。

税理士課程よりも技能士課程がご自身に合いそうだと感じた先生は、よければこちらもご覧ください。

まとめ|税理士課程と技能士課程は学び方で選ぶ

AFP認定研修の税理士課程が高く見えるのは、基本課程や技能士課程に安い講座がそろっていて、最安値どうしの比較になるからでした。

しかし、本当の違いは、2級レベルの知識を講義で身につけるか、2級の勉強を通じて自分で身につけるかの「学習スタイル」にあります。

講義で学びたい方は税理士課程、費用を抑えて自分のペースで進めたい方は2級から技能士課程、という選び方がおすすめです。そしてもし2級を受検する際は、会計人と相性のよい、きんざいの実技「中小事業主資産相談業務」がイチ押しです。