【FP2級学科】2025年1月試験 タックスプランニングを解いてみた(後編)

2025年1月のFP2級の学科試験のタックスプランニングを解説します。

過去問の出典

日本 FP 協会 2 級ファイナンシャル・プランニング技能検定学科試験2025年1月

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選択肢1

1.不動産所得、事業所得または雑所得を生ずべき業務を行う者は、納税地の所轄税務署長の承認を受けることにより青色申告書を提出することができる。

1:誤り(✖)

解説

青色申告の承認を受けることが出来るのは、不動産所得、事業所得、山林所得です。

覚え方は、青い富士山(「不」動産、「事」業、「山」林)がおすすめです。

選択肢は「雑所得」が含まれているので、誤りとなります。

選択肢2

2.年の中途で死亡した者のその年分の所得税について確定申告を要する場合、その相続人は、原則として、相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヵ月以内に、当該所得税について確定申告書を提出しなければならない。

2:正しい(◯)

解説

選択肢のとおりです。

通常の確定申告は1月1日~12月31日までの所得について本人行いますが、年の途中で本人が亡くなった場合、1月1日~死亡日までの所得についての確定申告は、相続人が、相続の開始があったことを知った日(通常、死亡日)の翌日から4ヶ月以内に確定申告書を提出します。

亡くなった人の確定申告の要否は、通常と同じ基準で判断されます。そのため、常に相続人が確定申告をしなければならないわけではありません。選択肢の出だしの説明のとおりです。

実務に携わっていると、この確定申告のことを「準確定申告」と呼んで区別することから、「確定申告」という表記が誤りなのではと思われるかもしれません。しかし、法令上は準確定申告も確定申告の一つという位置付けですので、準確定申告と呼んでいなくても誤りではありません。

選択肢3

3.その年中の給与収入の金額が1,000万円を超える給与所得者は、年末調整の対象とならず、確定申告をしなければならない。

3:誤り(✖)

解説

給与所得者の確定申告の要否の判定に関する選択肢です。給与収入が2,000万円を超える場合、年末調整の対象とならず、確定申告をする必要があります。

選択肢4

4.その年中の公的年金等の収入金額の合計が420万円であり、その全部について所得税が源泉徴収されている場合で、それ以外の所得が原稿料に係る雑所得の金額30万円のみである者は、確定申告を行う必要はない。

4:誤り(✖)

解説

年金受給者の確定申告の要否の判定に関する選択肢です。公的年金等の総収入金額が400万円以下で、その全部が源泉徴収の対象になっているのであれば、20万円以下の年金以外の所得があっても、確定申告を行う必要はありません。(所得税法第121条第3項)

支払われた年金の全額が源泉徴収の対象になっているのであれば(正確な金額とはいきませんが)おおむね十分な所得税の徴収が行われています。そこで、その総額が400万円以下の範囲であるならば、他に20万円以下の少額な所得があったとしても、わざわざ確定申告は必要ありませんよ、というルールが設けられています。

もちろん、所得控除などの申告のためにあえて確定申告をし、過大に徴収された所得税の還付を受けることも可能です。

【問37】法人税

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選択肢1

1.法人が納付した法人税の本税の額は、損金の額に算入することができない。

1:正しい(✖)

解説

問題文のとおりです。法人の所得にかかる税金は、大まかに法人税・法人事業税・法人住民税に3つに分けることができますが、このうち損金に算入できるのは「事業税」のみです。

個人事業主も同じですので、「事業税は経費になる」だけは必ず覚えましょう。

【(参考)損金に算入される税金

法人事業税

・事業所税

・不動産取得税、自動車税、固定資産税、都市計画税

・印紙税、登録免許税

・国税の利子税

・地方税の納期限の延長に係る延滞金

損金に算入されない税金

法人税、地方法人税、法人住民税(都道府県民税および市町村民税)の本税

・各種加算税、各種加算金、延滞税、延滞金(地方税の納期限の延長に係る延滞金を除く)、過怠税

選択肢2

2.法人が従業員の業務遂行中の交通違反に係る反則金を負担した場合、その負担金は、損金の額に算入することができる。

2:誤り(正答)

解説

「業務遂行中」という言葉に引っ張られそうになりますが、交通法令に違反した反則金や罰金という性質上、業務内外にかかわらず損金の額に算入することはできません。

交通違反の反則金等の扱い

交通違反の発生状況法人税の扱い
業務中損金不算入
業務外損金不算入

選択肢3

3.法人が納付した法人事業税の本税の額は、損金の額に算入することができる。

3:正しい(✕)

解説

問題文のとおりです。(選択肢1参照)

選択肢4

4.法人が減価償却費として損金経理した金額のうち、償却限度額に達するまでの金額は、その全額を損金の額に算入することができる。

4:正しい(✖)

解説

問題文のとおりです。

固定資産の減価償却費として損金の額に算入する金額は、償却費として損金経理をした金額のうち、その資産に応じた償却方法により計算した「償却限度額」に達するまでの金額となります。(法人税法第31条第1項)

たとえば、取得価額100万円の資産の償却費を耐用年数5年・定額法・12か月分で計算する場合、償却限度額は20万円です。これを25万円で経理したとしても、損金の額に算入できるのは20万円までで、5万円は法人税の申告時に加算調整を行います。

【問38】消費税(インボイス制度)

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次のうち、消費税の適格請求書等保存方式(インボイス制度)における適格請求書に必要とされる記載事項でないものはどれか。

選択肢1

1.適格請求書発行事業者の氏名または名称および登録番号

1:正しい(✖)

解説

適格請求書に記載が必要な事項は、以下のとおりです。

【適格請求書の記載事項】

・①インボイス発行事業者の氏名または名称および登録番号

・②課税資産の譲渡等を行った年月日

・③課税資産の譲渡等に係る資産または役務の内容(軽減税率の対象があればその旨)

・④課税資産の譲渡等の税抜きまたは税込み価額を税率ごとに区分して合計した金額および適用税率

・⑤税率ごとに区分した消費税額等

・⑥書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

したがって、上記①のとおり選択肢は正しいです。

選択肢2

2.適格請求書発行事業者の本店または主たる事務所の所在地

2:誤り(正答)

解説

適格請求書に記載が必要な事項ではありません。

発行事業者側の情報としては「氏名または名称」と「登録番号」の記載があればよく、選択肢の「本店または主たる事務所の所在地」は登録番号から国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで確認することができます。

選択肢3

3.課税資産の譲渡等に係る資産または役務の内容

3:正しい(✖)

解説

正しい選択肢です。(選択肢1参照)

選択肢4

4.税率ごとに区分した消費税額等

4:正しい(✖)

解説

正しい選択肢です。(選択肢1参照)

【問39】会社と役員の取引

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選択肢1

1.役員が会社に無利息で金銭の貸付けを行った場合、原則として、通常収受すべき利息に相当する金額が、その役員の雑所得の収入金額に算入される。

1:誤り(正答)

解説

役員から法人」への金銭の貸付けが無利息であっても、特に課税関係は生じません。

まず、これが逆に「法人から役員」への無利息の貸付けである場合を考えます。この場合、法人は役員に、通常の利息分に相当する利益を与えたこととなります

法人は営利目的で存在しているため、「利息をとるのが普通」と考えます

そのため、個人は法人から利益を得たとみなされ、個人側において課税が発生します。

法人から役員」への利益は、税務では法人から役員個人への「給与」扱いとなります。相手が役員ではなく、従業員でも同じです。

一方、選択肢1のように「役員から法人」の場合、法人にも個人にも、特に課税はありません。

選択肢1では、法人側は利息ゼロでお金を貸してもらえているので「得をしている」と思うのですが、法人税はどうなるんですか?

個人は利益のために存在しているわけではなく「利息をとらなくても別におかしくない」と考えます

そのため、法人は利息を払わなくても、相手が個人なら、別に得はしていないのです

なので法人の益金にはなりません!

つまり、選択肢1は「無利息について特に課税関係は生じない」であれば◯となります。あるいは、「役員」と「会社」が逆で、かつ、「雑所得」が「給与所得」であれば◯となります。

簿記で考えると、仮に利息分の収益があったとして益金を計上しても、その相手勘定は支払利息から生じているので損益ゼロ(つまり、課税なし)ということがわかります。

借方金額貸方金額
支払利息利息相当額受贈益 利息相当額

でも相手が「役員」だから特別な課税関係があったような…

それは「個人側」が利益を得るときです

繰り返しになりますが、「法人→役員・使用人」で無利息で貸付けがあると、役員や従業員個人への給与課税が生じるケースがあります。仮にその知識と混同していても、この選択肢1は、給与所得と雑所得の違いで解くことができます。

選択肢2

2.会社が役員からの借入金について債務免除を受けた場合、その債務免除を受けた金額が、その会社の所得の金額の計算上、益金の額に算入される。

2:正しい(✖)

解説

選択肢のとおりです。

え?選択肢1は法人の益金にならないんですよね?

これは益金になるんですか?

これは、すでにお金が動いているんです

選択肢1との違いは、会社が役員からすでにお金を借りており、返済義務が確定している話であることです。

選択肢1は、無利息で合意している以上、そもそも法人に利息を支払う義務はありません。「利息分が益金にならないのは、個人から借りているから」という話は、その次の話となります。

一方、選択肢2は、すでに法人が役員からお金を借りています

借りたものは法人でも個人でも返さないといけません

その免除を受けたなら、免除を受けた者の利益になります

帳簿にも記録されているはずの確定した債務ですから、それを免除してもらったなら免除益を計上しなければなりません。

【会社の仕訳】

借方金額貸方金額
役員借入金借入金の額債務免除益 借入金の額

選択肢3

3.役員が会社所有の社宅に無償で居住している場合、原則として、通常の賃貸料相当額が、その役員の給与所得の収入金額に算入される。

3:正しい(✖)

解説

選択肢のとおりです。

ポイントは、「法人→役員」への利益供与であることです。選択肢1や2の逆になります。

社宅を役員に無償で使わせる場合、住まいという経済的利益を会社から受け取っていることになります。そのため、税務では、その社宅の価値から独自に算定した「賃貸料相当額」が給与課税の対象となり、役員個人の給与所得になります。

選択肢4

4.会社が所有する資産を適正な時価よりも高い価額で役員に譲渡した場合、会社は時価で譲渡したものとされ、譲渡価額と時価との差額が、受贈益として益金の額に算入される。

4:正しい(✖)

解説

いわゆる高額譲渡の問題です。

「法人から個人」への譲渡(売却)なので、利益を得ているのは「法人」です。

すでに売買が成立し、法人は高額な代金を受け取ることが確定しています

選択肢のとおり、会社は時価で譲渡したものとし、時価との差額(得をした部分)が益金となります。

【例】
・資産の時価:1,000円(便宜上、会社の取得価額と同じとする
・売却の対価:1,500円
・会社の受贈益(会社が得をした金額):500円

借方金額貸方金額
現金預金 1,500会社の資産 1,000
受贈益 500

【問40】決算書

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選択肢1

1.貸借対照表において、純資産の部の合計額がマイナスになることはない。

1:誤り(正答)

解説

損益計算書と貸借対照表の基本的な構成に関する問題になります。

純資産の部とは、貸借対照表の右下の部分であり、株主の出資である資本金や会社の最終利益の積み重ねである利益剰余金などの合計です。

赤字続きの企業や利益以上の配当をしている企業では利益剰余金などがマイナスとなり、純資産がトータルでマイナスになることがあります。

選択肢2

2.貸借対照表において、資産の部の合計額は、負債の部および純資産の部の合計額と一致する。

2:正しい(✖)

解説

選択肢のとおりです。

選択肢3

3.損益計算書において、営業利益の額は、売上総利益の額から販売費及び一般管理費の額を差し引いた額である。

3:正しい(✖)

解説

選択肢のとおりです。

選択肢4

4.損益計算書において、経常利益の額は、営業利益の額に営業外損益の額を加減した額である。

4:正しい(✖)

解説

選択肢のとおりです。