FP試験|死亡保険金にかかる3つの税金を3級・2級の過去問で解説

FP試験|死亡保険金にかかる3つの税金を3級・2級の過去問で解説

FP試験では、死亡保険金を受け取った人にかかる税金が、相続税・所得税・贈与税のうちどれになるかがよく問われます。

3級では直近6回の公表分のうち2回、2級では直近9回の公表分のうち8回出ています。

保険料負担者(保険料を払っていた人)・被保険者・受取人の3人の関係を押さえれば、3級でも2級でも正誤判定できる問題です。

いや、それが覚えられないんだって……

これ覚えるのとっても簡単なんです!

ただし、この覚え方が使えるのは、一時金で受け取る死亡保険金だけです。

先に使える範囲を確かめておきましょう。

この記事で解けるようになる問題

・死亡保険金を、一時金で受け取る場合のみです。

・理由は、死亡以外の理由で支払われる保険金(例:入院給付金など)や、一時金ではなく年金で受け取る死亡保険金(例:収入保障保険など)の税金には別の論点があるためです。

死亡を理由に支払われる保険金(一時金)なら、生命保険(定期保険、終身保険、養老保険など)はもちろん、傷害保険の死亡保険金も同じ覚え方で解けます

この記事を書いた人

1級FPライター

イシダ

プロフィール

FP全級を独学で一発合格(1級はきんざい学科→協会実技)/相続とタックスが得意/元・会計事務所/ Lancers金融ライタースペシャリスト認定

死亡保険金の税金は、保険料負担者から誰へ移ったかで決まる

死亡保険金の税金は、その死亡保険金が「保険料負担者」から「誰へ」移ったかで決まります。

重要なのは、「保険料負担者」と「受取人」が、誰と誰なのかです。

死亡保険金にかかる3種類の税金一覧

「夫の生命保険(被保険者を夫とする死亡保険)」を例に、保険料負担者と受取人の組み合わせによって、死亡保険金にかかる税金がどのように変わるかは、次の1~3のとおりです。

被保険者保険料負担者受取人税金税法上の扱い
1夫夫妻相続税夫(死亡)→妻
相続
2夫妻子贈与税妻(生存)→子
贈与
3夫妻妻所得税と住民税妻自身の所得

こんな表、覚えたくないよ……

丸暗記しなくて大丈夫!

ここでは、生命保険を通じて、誰から誰に経済的な利益が移ったかを見ているだけなんです!

まず、保険料負担者が被相続人(亡くなった人)であれば、相続税の課税対象とみなします(パターン1)。

保険料負担者が被保険者ではない契約(パターン2と3)も、保険料負担者(生存)と受取人の関係で考えます。

保険料負担者と受取人が別なら、保険料負担者から受取人への贈与として贈与税(パターン2)、同じなら、自分で自分のお金を稼いだだけなので所得税(パターン3。あわせて住民税)の対象になります。

所得税の場合、選択肢が「所得税と住民税」とセットになることがあります

でも、あわてなくて大丈夫!

住民税は、所得税と同じ計算方法で求めた前年の所得をもとにかかるので、死亡保険金が所得税の対象になれば、住民税の対象にもなります。そのため、選択肢に「所得税と住民税」とあっても、パターン3なら正しい選択肢です。

なぜ「契約者」ではなく「保険料負担者」なのか

試験の問題文では、「契約者(=保険料負担者)」のように保険料負担者が明示されています。

通常、保険料を支払う義務があるのは契約者です。

そのため、通常は「契約者=保険料負担者」なのですが、税法では保険料の実際の負担者を基準にしています。

過去には、契約者以外が保険料の実質負担者と判断されたケースもあります!(国税裁平成10.9.2 事例集56-144など)

FP試験では通常、「契約者(=保険料負担者)」のように契約者と保険料負担者が一致しています。

そのため、契約者と保険料負担者の違いをそこまで心配しなくても大丈夫なのですが、正確には「保険料負担者」で判定します。

死亡保険金にかかる税金のFP試験問題の解き方

解き方

・まずは問題文から、支払われた保険金が「死亡保険金(一時金)」であることを確認します。(対象外:死亡以外による保険給付、一時金ではなく年金)

・被保険者・保険料負担者・受取人を整理します。

・被保険者と保険料負担者が、同じ人物かどうかを確かめます。同じなら、相続税の対象です。

・被保険者と保険料負担者が別の人物なら受取人を見ます。「受取人=保険料負担者」であれば、自分で自分のお金を稼いだだけなので所得税(と住民税)です。「受取人≠保険料負担者」なら贈与税の対象です。

ポイント

この3つを理解していれば、表を暗記していなくても解けます!

・保険料負担者から保険金の受取人へ経済的な利益(財産)が移っているとみなします。

・保険料負担者を基準とする理由は、保険金のもとになったのが、それまでに支払われた保険料だからです。

・保険料負担者と受取人の関係で、相続税・贈与税・所得税のどれになるかが決まります。

3級・2級の過去問を一問一答で確認

級ごとに、正答するための主な知識は次のとおりです。

級正答するための主な知識
3級死亡保険金の被保険者・保険料負担者・受取人の組み合わせから、税目(相続税・贈与税・所得税)を判断する
2級3級の知識に加えて、保険の種類が増える。
①「死亡保険金」ではなく、養老保険・終身保険など保険の名前で書かれる。
②傷害保険の死亡保険金も出る。
③人物を出さず、「契約者と被保険者が同一人」のように関係だけで書かれる

2級になっても、ポイントは「被保険者・保険料負担者・受取人」で同じです!

3級

過去問(2024年実技)

【出典】日本FP協会 FP3級 実技試験(資産設計提案業務)2024年公表分 問13の一部を加工して作成

〇か✕か、1つずついっしょに判断しましょう!

保険料負担者も被保険者も、Aさんです。

妻はAさんから相続で取得したとみなされるので、贈与税ではなく相続税の対象です。

【正解】✕(贈与税ではなく相続税)

被保険者を妻とする生命保険です。

保険料負担者はAさんで、受取人もAさん自身です。

そのため、Aさんの所得として所得税(一時所得)と住民税の対象です。

【正解】〇(適切)

被保険者を妻とする生命保険です。

保険料負担者はAさん、受取人はお子さんです。

子が受け取った死亡保険金はAさんからの贈与で取得したとみなされるので、贈与税の対象です。

【正解】✕(相続税ではなく贈与税)

2級

過去問(2026年学科)

【出典】日本FP協会 FP2級 学科試験 2026年公表分 問15の一部を加工して作成

養老保険も、生命保険の一つです。

保険の種類名で出題されても、死亡保険金であれば、読み取るのは被保険者・保険料負担者・受取人になります。

保険料負担者の死亡保険金であるため、正解は相続税となります。

「被保険者の相続人ではない者が受け取った死亡保険金」とありますが、相続人以外が受け取ったとしても相続税の課税対象になることは変わりません。

保険料負担者が被相続人となる死亡保険金は、「みなし相続財産」として、相続税の対象となる財産とみなされます

相続人以外が取得した相続財産であっても、相続人と同じように相続税の対象になることは、他の相続財産と変わりません。

なお、この「被保険者の相続人ではない者が受け取った死亡保険金」のように、受取人が相続人でないとするひっかけ問題が、2級では直近9回の公表分のうち5回確認できています。

【正解】✕(贈与税ではなく相続税)

「養老保険」以外にはどんな保険の種類で出題されやすいの?

過去問では、次の死亡保険金が出ています。

過去問に出た保険の名前

・生命保険:一時払終身保険、終身保険、養老保険、定期保険、特定疾病保障保険、個人年金保険の死亡給付金

・損害保険:傷害保険、家族傷害保険、自動車保険の搭乗者傷害保険

どの保険名で出題されても、死亡保険金であれば、読み取るのは被保険者・保険料負担者・受取人です。

名前に惑わされないようにしましょう。

まとめ

死亡保険金の税金は、保険料負担者(保険金のもとになった保険料を支払った人)から保険金の受取人へ経済的な利益(財産)が移っているとみなします。

落ち着いて、被保険者・保険料負担者・受取人を問題文から読み取れば、かならず正答できます。