就業不能保険と医療保険、入るならどっち?

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「医療保険と就業不能保険は、目的が違うから両方入ると安心です」

そう言われて、なんとなく腑に落ちなかった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

もし両方の保険に加入すれば、確かに保障は手厚くなり、余計な心配をせず働くことができるようになります。

しかしその保険料は、年齢が若くても月1万円近くになるでしょう。

それが難しいのならどちらかを選ぶことになりますが、何だか妥協しているみたいで不安が残ります。

せっかく安心のために保険に入るのに、安心どころか何となく後味が悪いってどういうことなの…

この2つの保険、本当にそうした選び方をするしかないのでしょうか。

この記事では、1級FP技能士である私の個人的な意見として、2つの保険をどう考えるかをお伝えします。

一般的な「両方入ろう」という結論とは異なる視点になりますが、何となく腑に落ちない気持ちを抱えている方に、新たな判断の材料のひとつにしてもらえれば幸いです。

この記事を書いた人

1級FPライター

イシダ

プロフィール

会計事務所で顧客担当をしていた1級ファイナンシャル・プランニング技能士。保険募集人の経験もあり。Lancers金融ライタースペシャリスト認定。

医療保険と就業不能保険、目的が違うから比べられない?

「医療保険と就業不能保険は目的が違うので、両方に加入したほうがいいです」

そういう説明を見たことがある方も多いのではないでしょうか。

確かに、その通りではあります。

この2つはどちらも病気やケガに備える保険なのですが、その目的が異なります。

医療保険は医療費を補うものであり、就業不能保険は働けなくなったときの収入を補うものです。

両方に加入すれば、病気やケガによるリスクを短期的・長期的な視点からカバーしてくれます。

とはいえ、医療費も生活費の一つ。

目的が「医療費を補うこと」であっても、結果的には、病気やケガによる収入減少を助ける一手となり、まったく無関係なものを補っているわけではありません。

結局は同じ財布の中身の話なのです。

ここからは「どちらで迷っているなら、どこを比べるか」という視点で、2つの保険の特徴を整理していきます!

医療保険で備えられること

まずは医療保険の特徴です

医療保険は、入院や手術といった場面で給付金を受け取れる保険です。病気やケガで入院したとき、手術を受けたときに、日数や回数に応じて一定額が支払われます。

保険料は比較的抑えやすく、30歳であれば終身タイプでも月々3,000円ほどで、それなりの保障をつけられます。

保障内容も柔軟で、通院は支給されないことが多いですが、オプションでがんなどの通院を手厚くできるものもあります。

また、がん、三大疾病、生活習慣病関係の疾患、女性特有の疾患など、かかりやすい疾病にあわせて保障を手厚くできる商品も多く、自分で設計しやすいのが特徴です。

保険期間も柔軟で、10年などの定期タイプと、一生涯を保障する終身タイプがあり、「まず試してみたい」という方には10年の定期から入るという選択肢もあります。

ここからが重要です

さて、この医療保険ですが、その存在感が増すのはいつだと思いますか。

答えは、年齢を重ね、収入が減ってからです。つまり働き盛りを過ぎてからが医療保険の本番なのです。

若いうちは入院とは無縁な人も多いでしょう。加えて収入もありますから、医療費など気にもなりません。

しかし、60歳をすぎると、一般的には収入は減り、一方で医療費は増えていきます

がんや三大疾病、重度慢性疾患のリスクも、年齢とともに高まります。

そのときに「やっぱり入っておけばよかった」と思っても、高齢になって新たに加入しようとすれば、月々の保険料負担は大幅に上がります。それを少ない収入から支払うことは、なかなか心細いものです。

日本には高額療養費制度があるため、医療費の負担で生活破綻はしにくい設計になっています

それでも、入院や手術のたびに一定額が受け取れることの価値は、年齢を重ねるほど実感しやすくなります

就業不能保険で備えられること

就業不能保険は、病気やケガで働けなくなったときに、毎月一定額の給付金を受け取れる保険です。

医療保険が医療費を補うものであるのに対して、就業不能保険は収入が止まっている間の生活費をまかなうことを目的としています。

保険料の目安は、30歳男性で月20万円の保障を65歳まで続けるケースで、支払対象外期間(支給開始までの待機期間)が60日となるタイプなら月々5,000円ほどが目安です。

終身ではありませんが、保険料は高めです。

支払対象外期間なしで早い段階から給付が始まるタイプなら、目安ですがこの1.5倍ほどになります。

ただし、保険金が実際に支払われるまでの道のりは、それほど簡単ではありません。

まずこの保険の多くは、入院、医師の診療にもとづく在宅療養、一定の障害等級などに該当することが主な「就業不能」の条件となっています。さらに保険金が給付されるのは、支払対象外期間を超えて「就業不能」の状態が続いていることが条件です。

そして、一見すると該当しやすいそうな「在宅療養」ですが、これは医師の「診療」として行われるものでなければなりません。単に医師のアドバイスを受けて休業しているだけでは、だめなのです。

「働けなくなったとき」の条件が、言葉から受けるイメージとちょっと違うね

いいかえると、これが支給されるような状態は、本当に人生の予期せぬトラブルです!

「まさか自分が…」「なぜ自分が…」と思うような真の危機に備えられる保険ともいえます

就業不能保険を優先すべき人

2つの保険を比べたとき、就業不能保険を優先すべき人がいます。

それは、自分が動けなくなったとき、家族の収入が即ゼロになる働き方をしている方です。

手作業でものづくりをされるクリエイターさんや、職人さんなどがあてはまります。

たとえば、個人のケーキ屋さんでは、パティシエである店主が毎日ケーキを作り、それを店で販売することで売上が成り立っています。

もしこの方が入院や長期療養のため、工房に立てなくなれば、その日から売上はゼロになってしまいます。

こうした方にとって就業不能保険は、医療保険より先に検討すべき備えといえます。

一方で、会社員や公務員の場合、傷病手当金というセーフティネットがありますので、就業不能保険の優先度は低めです。

また、公的保障のない自営業者やフリーランスであっても、養う家族がいなかったり、自分以外に稼ぎ手がいたりする場合であれば、就業不能保険の優先度は下がります。

就業不能保険は、必要な人と、そうでない人がはっきり分かれる保険です

こちらの記事もぜひ参考にしてください

迷ったら「終身タイプの医療保険」をおすすめしたい理由

就業不能保険の優先度が高い方を除けば、迷ったときは終身の医療保険をおすすめします。

理由は3つあります。

ひとつ目は、多くの人がお世話になりやすい保険だからです。

就業不能保険が給付されるような事態は「まさか自分が」というレベルの危機でしたが、それに比べれば、入院や手術は年齢を重ねるほど誰にでも起こりやすくなります。

保険としての出番が多いのは、医療保険のほうです。

ふたつ目は、老後に強い備えだからです。

就業不能保険は働き盛りの年代の危機に備えるものです。一方、終身の医療保険は働けなくなった老後から価値が増していきます。

ここからは個人的な価値観も入っていますが…

もし、働き盛りの人が、何か月もの療養が必要となる大病に見舞われた場合、これは周囲に助けを求めざるをえません。親御さんもご健在かもしれませんし、助けを求められた側も「そのような異常事態なら仕方がない」と得心がいくでしょう。

ところが、老後になると、頼れる相手は圧倒的に少なくなります。

もちろん、日本には高額療養費制度があるため、月々の医療費の負担はそこまで大きくなりません。

特に外来のみで事足りる健康な方なら、かなり負担を抑えられます。

70歳以上で、一般的な年収の方で外来のみを利用するなら、自己負担額は1人あたり1万8,000円が上限です

一方、入院等を要するようになると、70歳以上の世帯の多くでは、自己負担限度額が月5万7,600円(多数回該当なら月44,400円)となります。

世帯での上限額であるとはいえ、この金額、ぶっちゃけ微妙ですよね。

収入はもう増えないのに、治療に終わりが見えないとなると、心細くなってくる額だと正直思います。

しかも今の働く世代が高齢者になったとき、これらの限度額がどう変わっているのかも気になります…

そのような中、入院や手術のたびに定額で保険金を受け取れる権利があることは、地味ですが安心につながります。

みっつ目は、後から修正がきかないからです。

終身の医療保険は、若いうちに加入するほど月々の保険料が抑えられます。

一方で、高齢になってから加入しようとすると月々の保険料は大幅に上がります。

年金暮らしになってから保険料なんて払いたくない」という人は、60歳や65歳で「払い済み」となる保険がおすすめです

もし今、保険料を払える収入があり、就業不能保険と迷っているのなら、「終身の医療保険」と比べて検討してみてください。

若いうちは、ただお金を振り込むだけになりがちですが、人生の後半から、長く安心を届けてくれる保険になると思います。

就業不能保険と医療保険で迷っている人に向けた、考え方の一つです

ご自身の価値観によって、いろいろな捉え方ができますよ

まとめ|迷ったら無料相談で確認を

医療保険と就業不能保険は、どちらが優れているという話ではありません。

ただ、「どちらかに絞るなら」という問いに対しては、多くの方にとって終身の医療保険のほうが出番が来やすく、長い目で見て頼りになる備えだというのが筆者の考えです。

就業不能保険は、自分が倒れたら即収入ゼロになる働き方をしていて、家族を養っている方には非常に価値のある保険です。そうでない方は、終身の医療保険も検討してみてくださいね。

どちらの保険も、自分の働き方・家計・家族構成によって必要性が変わります。

「自分の場合はどうか」を確認したい方は、ぜひFPに話を聞いてみてください。保険単体ではなく、今ある保障全体を見渡したうえでアドバイスをもらえます。

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