もう忘れない!FP試験の6つの係数の名前と意味を覚える方法

FP3級や2級の学科試験に出題される6つの係数問題には、問題文を読んで「知りたい金額」と、「それを計算するために必要な係数」の正しい組み合わせ(あるいは誤った組み合わせ)を選ぶ問いが出題されます。

この問題を解くためには、6つの係数のそれぞれの「名称」と「意味(どんな時に使うのか)」を結びつけて覚えることが必要です。

しかし、6つの係数の意味は説明文がよく似ており区別が難しく、丸暗記と非常に相性が悪いといえます。

この記事ではFP3級~1級すべて一発合格した筆者が実際に使った、6つの係数の覚え方を解説します。

記事の最後に、試験直前でも間に合うおすすめ問題集を紹介しています。

模擬試験3回分という少ないボリュームにもかかわらず「マジでやっといてよかった」と思える一冊です。

特に独学で試験に挑戦されている方の、試験直前の仕上げにおすすめです。

これから6つの係数の覚え方を解説しますが「丁寧な解説は不要!」という方のために、後半の「総まとめ」の項目で6つの係数の覚え方をまとめました。ぜひご活用ください。

6つの係数を覚えなければならない理由

まずはFP試験における6つの係数問題の出題頻度と出題パターンを確認しておきましょう。

これを見れば、特に3級と2級の試験において6つの係数を覚える必要性が高いことが確認できます。

6つの係数問題の出題頻度

まずは、6つの係数問題の出題頻度から確認します。

下記の表は、2020年9月試験以降、6つの係数問題が出題された試験に「〇」をつけたものです。

FP試験の6つの係数問題の出題頻度を分析した表です

【表について】金融財政事情研究会(以下、きんざい)と日本FP協会が公開している、学科試験(50問の択一式)の過去問から筆者が独自にまとめています。1級の学科試験はきんざいの基礎編のみでの実施となりますので、1級はきんざい、2級・3級はきんざいとFP協会の両方が対象になっています。(2020年9月と2021年1月はきんざいのみで確認)

(参考)金融財政事情研究会:試験問題

(参考)日本FP協会:試験問題・模範解答

ご覧のとおり、3級試験はほぼ毎回、2級試験はおおむね3回に1回の頻度で出題されていることがわかります。

ちなみに、2024年1月試験ではすべての級で出題されました。

6つの係数問題の出題パターン

続いて、6つの係数問題の出題パターンを説明します。

6つの係数問題の出題パターンは、係数あり」と係数なしの2つのパターンに分類することができます。

係数ありとは問題文で係数の数値が与えられる問題のことで、「係数なし」とは係数の数値が与えられない問題のことをいいます。

この2つのパターンのうち、係数なしの問題については、係数の名称と意味の組み合わせを覚えていなければ解くことができません。

それでは先ほどの表で、6つの係数問題の出題パターンを確認してみましょう。

FP試験の6つの係数問題について出題パターンを分析した表です

ご覧のとおり、3級試験や2級試験における6つの係数問題では「係数なし」が出題されます。

係数なし」を解くためには、各係数の「名称」と「意味(どんな時に使うのか)」を結び付けて覚えることが欠かせません。

これに対して、係数が問題文で与えられる「係数ありについては、係数の意味をまったく覚えていなくても数値から答えを推理して解くテクニックがあります。

覚えなくてよいため勉強は楽ですが、係数が与えられなかった場合は使えません。

参考までにこちらの記事で解説しています。

各係数の意味を覚えれば、「係数あり」と「係数なし」のすべての問題に対応できるようになります。そのため、各係数の「名称」と「意味」を覚える方法がおすすめです。

本記事では、6つの係数を丸暗記せずに覚えられる方法を紹介しています。

6つの係数を丸暗記せずに覚える方法

6つの係数の「名称」と「意味(どんな時に使うのか)」の組み合わせを、丸暗記をせずに覚えるためには、6つの係数を、次の“特徴”を使って分類する方法がおすすめです。

・知りたい金額は現在か未来か

・元金が増減するかどうか

・年金に乗じる金額かどうか

この3つの特徴を使って6つの係数を分類すると下記のようになります。

係数の名称知りたい金額元金の増減乗じる対象
終価係数未来なし
現価係数現在なし
年金終価係数未来増加年金
減債基金係数現在増加
年金現価係数現在減少年金
資本回収係数未来減少

このように分類した理由をこれから解説しますので、今は意味がわからなくて問題ありません!

それでは早速、3つの特徴の1つめの意味から解説していきます。

【3つの要素のおさらい】

1:知りたい金額は現在か未来か

2:元金が増減するかどうか

3:年金に乗じるかどうか

知りたい金額は現在か未来か

6つの係数問題の「お決まりの型」とは

6つの係数問題には「お決まりの型」があります。

それは、とある「資金運用計画」があって、その計画には、すでに「決まっている金額」と、これから「知りたい金額」があるというものです。「んじゃ知りたい金額を計算するために、決まっている金額にどの係数を掛け算するかい?」というのが、6つの係数問題のお決まりです。

例えば「10年後に一定額を貯めるために必要な元本を求める」という場合、「決まっている金額」は10年後の目標額、「知りたい金額」は今から投資する元本になります。

解答者がやらなければならないのは、「知りたい金額」を計算するために、「決まっている金額」に乗じる係数を、6つの中から当てることになります。

知りたい金額は「現在」か「未来」か

決まっている金額」が「未来の目標額」である場合、「知りたい金額」は必然的にそれを達成するため「今必要な元本」になります。

逆に「今から運用する元本」が「決まっている」場合、「知りたい金額」は、それを運用した後の「未来でもらえる額」になります。

知りたい金額」と「決まっている金額」は必ずどちらかが「今(現在)」で、どちらかが「未来」の金額になります。

決まっている金額知りたい金額
未来の目標額今必要な元本
今から運用する元本未来でもらえる額

6つの係数では「知りたい額」が現在である場合に使う係数が3つ、「未来」である場合に使う係数が3つに分かれています。

係数の名称知りたい金額
終価係数未来
現価係数現在
年金終価係数未来
減債基金係数現在
年金現価係数現在
資本回収係数未来

表にマーカーを引いた4つの係数の名称をよく見てみましょう。

この4つについては、係数の名称に「現価」「終価」の文字が使われています。

このことを利用して、6つのうち4つの係数の「未来」と「現在」を簡単に覚える方法があります。次項で解説します。

「知りたい額」が「現在」と「未来」のどちらの金額であるかがわかれば、選択肢を絞ることができる可能性があります。例えば、「知りたい額」が「未来」である問題の選択肢に、「現価係数」や「年金現価係数」があれば、その選択肢は誤りであることがわかります。この項の最後に練習問題を用意していますので、その時に一緒に確認しましょう。

「現」は現在を求める係数、「終」は未来を求める係数

「現価」は知りたい金額が「現在」である場合のみ

6つの係数のうち、「現価」の文字が入っている係数は「知りたい金額」が「現在である場合のみに使える係数です。

例えば、次のような問題に使えます。

【例】:10年後に100万円を貯めるために、今必要な元本を求める係数は「100万円×〇〇係数」である。

この問題の答えは現価係数です。

【おすすめの覚え方】

「現価」→「現化」(「決まった金額」(100万円)を「知りたい金額」(現在)に向かって変化させるイメージ)

知りたい金額が「未来」なら「終価」

6つの係数のうち、「終価」の文字が入っている係数は、「知りたい金額」が「未来」である場合のみに使える係数です。

例えば、次のような問題に使えます。

【例】:100万円を10年間運用した後の元金と利息の合計は「100万円×〇〇係数」である。

この問題の答えは終価係数です。

【おすすめの覚え方】

「終価」→「終化」(「決まった金額」(100万円)を「知りたい金額」(未来)に向かって変化させるイメージ)

問題文から未来・現在を読み取ってみよう

それでは、ここからは実際に出題されたFP2級の過去問を使いながら「現在」と「未来」の読み取り方を解説します。

下記は、2023年9月のFP2級の学科試験の問題です。

(出典):日本FP協会 2級ファイナンシャル・プランニング技能検定学科試験2023年9月

この1~4のそれぞれの選択肢の文章を読んで、求めたい金額が「現在」なのか「未来」なのかを読み取ってみましょう。

係数の名前が正しいかどうかは後からわかるようになります。ここでは「現在」と「未来の判別に集中しましょう。

さっそく【選択肢1】から見ていきます。

【選択肢1】一定の利率で複利運用しながら一定期間経過後の元利合計額を試算する際、現在保有する資金の額に乗じる係数は、終価係数である

「~を試算する際」とあるので、この「~」のところが、求めたい金額です。

この問題では「一定期間経過『後』の元利合計額」を求めようとしています。

決まっている金額は「元本」、知りたい金額は将来の金額ですので、この問題は「未来」を求める係数が解答であることが読み取れます。

問題文では、「現在保有する資金の額」を運用するものとし、元金はすでに決まっていることを示しています。そして知りたい金額は運用後の「未来」ですので、「未来」を求める係数が解答になることを判別できます。

続いて【選択肢2】です。

【選択肢2】一定の利率で複利運用しながら一定期間、毎年一定金額を積み立てた場合の一定期間経過後の元利合計額を試算する際、毎年の積立額に乗じる係数は、年金終価係数である。

この問題でも、求めたい金額は「一定期間経過後の元利合計額」です。「将来の金額を知りたがっている」という状況が読み取れますので、未来になります。

【選択肢1】との違いは、「決まった年金額を積み立てる」という話であることです。

続いて【選択肢3】です。

【選択肢3】一定の利率で複利運用しながら一定期間、毎年一定金額を受け取るために必要な元本を試算する際、毎年受け取りたい金額に乗じる係数は、資本回収係数である。

この問題で求めたい金額は「必要な元本」です。

「未来で受け取りたい年金額」が決まっている人が「それを受け取るために今いくら元金があればいいのかが知りたい」ということを読み取ることがポイントになります。

したがって答えは「現在」です。

次のような図をイメージすることで、現在と未来の時間軸がわかりやすくなります。

次が最後です。

【選択肢4】一定の利率で複利運用しながら一定期間経過後に目標とする額を得るために必要な毎年の積立額を試算する際、目標とする額に乗じる係数は、減債基金係数である。

この問題の求めたい金額は「毎年の積立額」です。これも難しい問題ですが、よく出ます。

これは「未来で貯めたい目標額」が決まっている人が、それを貯めるために「今からいくら積み立てればよいか」を知りたがっていることを読み取れるかどうかがポイントです。

答えは「現在」です。

「未来の目標額」に対し、「積立額」はそれよりも前の、「現在」の時間軸にあると気がつくことができれば答えがでます。

慣れるまでは次のような図を思い浮かべて「毎年の積立額」の時間軸が「現在」であることをイメージしましょう。

現在と未来が逆になっている選択肢を見つけてみよう

現在」と「未来」の区別ができるようになっただけで、できることがあります。

続いては、FP3級の過去問の選択肢から「現在」と「未来」の区別で、選択肢を絞ってみましょう。

次は、2022年1月のFP3級の学科試験の問題です。

元金を一定の利率で複利運用しながら、毎年一定金額を一定の期間にわたり取り崩していくときの毎年の取崩し金額を計算する場合、元金に乗じる係数は、(  )である。

1) 現価係数
2) 減債基金係数
3) 資本回収係数

(出典):日本FP協会3級ファイナンシャル・プランニング技能検定学科試験2022年1月

まずは、「知りたい金額」を読み取りましょう。

「~を計算する際」の「~」のところが、知りたい金額です。

したがって、これは元金が決まっている人が「これから毎年いくら取り崩せるか」を知りたがっているものです。

イメージ図は次のようになります。

決まっている額(元金)に対して知りたい金額(受取れる額)はそれよりも後の、「未来側」の時間軸にあります。

つまり、この問題の解答は「未来」を求める係数でなければなりません。

そうすると、選択肢にある「現価係数」は「現在」を求める係数であるため、除外することができます。

ちなみに答えは、(3)の資本回収係数になります。

元金が増減するかどうか

続いて、2番目の「元金が増減するかどうか」を見ていきます。

【3つの要素のおさらい】

1:求めたい金額は現在か未来か

2:元金が増減するかどうか

3:年金に乗じるかどうか

6つの係数には、元金が途中で変動しない時に使うものが2つ、変動する時に使うものが4つあります。

係数の名称求めたい金額元金の増減
終価係数未来なし
現価係数現在なし
年金終価係数未来増加
減債基金係数現在増加
年金現価係数現在減少
資本回収係数未来減少

元金が途中で変動するかどうかとは、運用期間中に元本の増減があるかどうかです。「毎年積み立てる」とか「毎年受け取る・取り崩す」というような元本の増減が問題文に示されているものを意味します。

元金の変動がなければ、「終価係数」か「現価係数」のどちらかで確定です。

先ほど「現在未来」の判別をした2級の問題文から、今度は元金の変動があるかないかを見分けてみましょう。

過去問から元本の増減を読み取ってみよう

先ほど、現在と未来の判別をしたFP2級の選択肢1~4で、今度は元本の増減を読み取りましょう。

【選択肢1】一定の利率で複利運用しながら一定期間経過後の元利合計額を試算する際、現在保有する資金の額に乗じる係数は、終価係数である

この問題文は、どこにも「毎年積み立てる」とか「毎年受け取る(取り崩す)」という表現がありません。

したがって、元本の増減は「なし」です。

この問題で知りたい金額は「未来」ですので、答えは「終価係数」で確定です。

【選択肢2】一定の利率で複利運用しながら一定期間、毎年一定金額を積み立てた場合の一定期間経過後の元利合計額を試算する際、毎年の積立額に乗じる係数は、年金終価係数である。

問題文に「毎年一定金額を積み立てた場合」とあるため、これは元本の増減「あり」です。

【選択肢3】一定の利率で複利運用しながら一定期間、毎年一定金額を受け取るために必要な元本を試算する際、毎年受け取りたい金額に乗じる係数は、資本回収係数である。

問題文に「毎年一定金額を受け取る」とあるため、これは元本の増減「あり」です。

【選択肢4】一定の利率で複利運用しながら一定期間経過後に目標とする額を得るために必要な毎年の積立額を試算する際、目標とする額に乗じる係数は、減債基金係数である。

問題文に「毎年の積立額」とあるため、これは元本の増減「あり」です。

元本の増減がないなら「四文字係数」

「毎年積み立てる」「毎年受け取る・取り崩す」というような文言が一切ないものは、終価係数現価係数の2つの係数のいずれかになります。

覚え方は、6つの係数のうち、終価係数現価係数のみが「四文字」であることです。たったの四文字で、とってもシンプルですよね。「四文字→シンプル→単純→元本の増減がない」といった連想で覚えましょう。

四文字係数を使って選択肢を絞ろう

それでは、問題の選択肢から元本の増減があるのに四文字係数を使っているものを見つけて、選択肢を絞ってみましょう。

ここでは2つ問題を見ていきます。まずは、2021年5月のFP3級の学科試験の問題です。

一定の利率で複利運用しながら一定期間経過後に目標とする額を得るために必要な毎年の積立額を試算する際、目標とする額に乗じる係数は、(  )である。
1) 現価係数
2) 資本回収係数
3) 減債基金係数

(出典):日本FP協会3級ファイナンシャル・プランニング技能検定学科試験2021年5月

こちらの問題は、積み立てがあることから、四文字係数である選択肢(1)を解答から消去して2択に絞ることができます。

ちなみに答えは(3)の減債基金係数です。

続いて、2023年1月のFP3級の学科試験の問題です。

元金を一定期間、一定の利率で複利運用して目標とする額を得るために、運用開始時点で必要な元金の額を試算する際、目標とする額に乗じる係数は、(  )である。
1) 現価係数
2) 減債基金係数
3) 資本回収係数

(出典):日本FP協会3級ファイナンシャル・プランニング技能検定学科試験2023年1月

こちらの問題は、元金の変動がありません。したがって、四文字係数である選択肢(1)現価係数が解答になります。

【おさらい】

仮に選択肢に終価係数もあったとしましょう。この問題では目標額が決まっており知りたい金額が現在の必要な元金であると読み取れます。したがって、現価係数であると判断できます。

元本の増減がある場合

「毎年積み立てる」「毎年受け取る・取り崩す」という文言があれば、元本の増減があります。

したがって、四文字の係数を除いた、次の4つのいずれかになります。

係数の名称求めたい金額元金の増減
年金終価係数未来増加
減債基金係数現在増加
年金現価係数現在減少
資本回収係数未来減少

「積み立てる」場合は元金が増加し、「受け取る(取り崩す)」場合は元金が減少します。

そして「知りたい金額」が現在未来かで、次のようになります。

ここからは、この4つの係数をセットにして、「年金終価係数」「年金現価係数」から覚えていきます。

年金に乗じる係数かどうか

年金終価係数」「年金現価係数」の覚え方は簡単です。どちらも必ず「年金に乗じる係数」であるからです。

【3つの要素のおさらい】

1:求めたい金額は現在か未来か

2:元金が増減するかどうか

3:年金に乗じるかどうか(最後です!

年金に乗じるのは「年金〇〇係数」だけ

元金が変動する問題は、毎年一定額を積み立てて増やしていくか毎年一定額を受け取りながら元金を崩していく問題しかありません。

元本を積み立てて増やす問題とは

毎年一定額を積み立てて元金を増やしていく問題です。上り階段のような図で表現することができます。

毎年積み立てる年金の額が問題文で決まっている場合は積み立て後(未来)の金額を年金終価係数で、積み立て目標額が決まっている場合はこれから積み立てる年金額(現在)を減債基金係数で求めます。

元金を崩して受け取る問題とは

毎年一定額を受け取って元金を崩していく問題です。下り階段のような図で表現することができます。

取り崩す前の現在の元金が問題文で決まっている場合は取り崩す(受け取る)金額を資本回収係数で、受け取りたい金額が決まっている場合は元金を年金現価係数で求めます。

年金に乗じるのは年金〇〇係数だけ

ここから覚え方を解説します。4つの係数を一つにした図を再度みてみましょう。

まず4つの係数のうち「年金終価係数」は「終価」の文字どおり、未来の金額を求めるものです。

反対に「年金現価係数」は現在の金額を求めるものになります。

そしてこの「年金〇〇係数」は、かならず年金(1年あたりの金額)に乗じる係数になります。

つまり、こういうことです。

・積み立てる年金の額が決まっている場合(知りたいのは、年金積み立て後の額)

 → 1年あたりの積み立て額年金終価係数を乗じる

・取り崩す年金の額が決まっている場合(知りたいのは、取り崩す前の元金)

 → 1年あたりの受け取り額年金現価係数を乗じる

そして、ここまで見てきた「現在と未来」の区別、「元本の増減」の区別、そして今回の「年金に乗じるのは『年金〇〇係数』だけ」という3つを覚えていれば、ある1パターンの問題を除いて、すべて正答できます。

最後の1パターンについては、この後に解説します。まずは「年金に乗じるのは『年金◯◯係数』だけ」のルールに集中しましょう。

年金に「年金〇〇係数」を乗じていない選択肢を見つけてみよう

それでは「年金額に乗じるのは年金〇〇係数だけ」という知識で選択肢を絞ってみましょう。

最初に出題したFP2級の問題のうち、残りの【選択肢2~4】を解きます。誤っている選択肢が1つあります。

【選択肢2】一定の利率で複利運用しながら一定期間、毎年一定金額を積み立てた場合の一定期間経過後の元利合計額を試算する際、毎年の積立額に乗じる係数は、年金終価係数である。

【選択肢3】一定の利率で複利運用しながら一定期間、毎年一定金額を受け取るために必要な元本を試算する際、毎年受け取りたい金額に乗じる係数は、資本回収係数である。

【選択肢4】一定の利率で複利運用しながら一定期間経過後に目標とする額を得るために必要な毎年の積立額を試算する際、目標とする額に乗じる係数は、減債基金係数である。

このうち、間違っているのは【選択肢3】です。

【選択肢3】に、わざわざ「毎年受け取りたい金額に乗じる係数」と書いてくれているので、「毎年受け取る一定額=年金である」ことさえ読み取ることができれば、年金に乗じる「年金〇〇係数」の出番であるとわかります。

したがって、資本回収係数はありえません。

減債基金係数・資本回収係数の覚え方

ここまでの解説で、たった1つだけ解くことができないパターンがあります。それは、減債基金係数と資本回収係数を入れ替えた問題です。

減債基金係数・資本回収係数の入れ替え対策

下記の3つの要素を覚えれば、ほとんどの問題に対応することができます。

【3つの要素のおさらい】

1:求めたい金額は現在か未来か

2:元金が増減するかどうか

3:年金に乗じるかどうか

減債基金係数資本回収係数の違いを覚えることは、この2つを入れ替えた問題に対応するために必要となります。

減債基金係数・資本回収係数は年金額を求める場合に使う

この2つは、「年金〇〇係数」とは逆に「1年あたりの積み立て受け取り額」を求める係数です。

それでは、どちらが積み立て額の計算に使う係数で、どちらが受け取り額の計算に使う係数であると覚えればよいでしょうか。

言葉のイメージで覚える方法

減債基金係数は「基金」という言葉から、国民年金基金や厚生年金基金といった「年金を積み立てる」ことをイメージして覚えるようにします。

資本回収係数は、「受け取っていく(取り崩していく)回収されていく」ことをイメージして覚えましょう。

資本回収係数は、投下した資本(投資額)を利息つきで回収する際の係数です。FP試験によくでる「取崩し」以外にも、ローンの返済年額を計算するときに用いられます。

語呂合わせで覚える方法

減債基金係数は、「現在」を求める係数ですから、「減債」(ゲンサイ)と「現在の語呂合わせで覚えることもできます。

また、資本回収係数は「未来(終価)」を求める係数ですから、「回収」(カイシュウ)と「の音の一致で覚えることもできます。

イメージで覚える派

・減債基金→毎年積み立てる

・資本回収→毎年回収する

語呂合わせで覚える派

・減債(ゲンサイ)→現在(ゲンザイ)

債基金→現在(価)

・資本回→未来(価)

先頭の文字(減)と最後尾の文字(収)がポイントです!

なお、どちらか1つをしっかり覚えていれば、消去法で「年金〇〇係数」の逆であることから導き出すこともできます。

もし試験中に思い出せなくなったら、とりあえず手を動かして、下記のように上り階段と下り階段の図を描いてみましょう。

そして先に思い出しやすい年金終価係数・年金現価係数を書き込み、そこに減債基金係数と資本回収係数のどちらか思い出せるほうをを書き込むことで、もう一つの係数を特定する方法もあります。

総まとめ・演習問題

最後に、ここまでの内容の総まとめと演習問題を行います。

6つの係数の覚え方の一覧表

係数の名称知りたい金額元金の増減乗じる対象
終価係数未来なし
現価係数現在なし
年金終価係数未来増加年金
減債基金係数現在増加
年金現価係数現在減少年金
資本回収係数未来減少
特に重要な覚え方

・現価は現在、終価は未来

・元本の増減がないなら「四文字係数」

・年金に乗じるのは「年金〇〇係数」だけ

・減債は現価、回収は終価

演習問題

ここまでの話を振り返りながら、最初に出題したFP2級の問題のうち【選択肢1~4】を最後に解きましょう。

この問題はたまたま少ない知識で解くことができましたが、総まとめとして1つずつ正誤を判定してみます。

【選択肢1】一定の利率で複利運用しながら一定期間経過後の元利合計額を試算する際、現在保有する資金の額に乗じる係数は、終価係数である

知りたい金額は未来の金額です。また、元本変動がありません。

答えは「終価係数」で「〇」です。

【選択肢2】一定の利率で複利運用しながら一定期間、毎年一定金額を積み立てた場合の一定期間経過後の元利合計額を試算する際、毎年の積立額に乗じる係数は、年金終価係数である。

知りたい金額は積み立て後の未来の金額ですので「未来」の係数の出番です。

また、「毎年一定金額を積み立てた場合」という条件から、積み立てる年金の額が決まっていることがわかります。また「毎年の積立額に乗じる係数」という部分からも、年金に乗じる「年金〇〇係数」の出番であるとわかります。答えは「年金終価係数」で「〇」です。

【選択肢3】一定の利率で複利運用しながら一定期間、毎年一定金額を受け取るために必要な元本を試算する際、毎年受け取りたい金額に乗じる係数は、資本回収係数である。

知りたい金額が「毎年一定額を受け取るために必要な元本」なので「現在」を求める係数の出番です。

また、決まっている金額は「毎年受け取りたい金額」、つまり年金です。「毎年受け取りたい金額に乗じる係数」の部分からも、年金に乗じる「年金〇〇係数」の出番であるとわかります。答えは「年金現価係数」であり「✕」です。

【選択肢4】一定の利率で複利運用しながら一定期間経過後に目標とする額を得るために必要な毎年の積立額を試算する際、目標とする額に乗じる係数は、減債基金係数である。

知りたい金額は「必要な毎年の積立額」なので「現在」を求める係数の出番です。

また、決まっている金額は「一定期間経過後の目標額」であり、知りたい金額はこの目標額を達成するための積み立て年金額ですから、「年金〇〇係数」ではなく、その逆の、減債基金係数か資本回収係数の出番になります。

問題文は「積み立て」ですので「積み立て」のイメージから「基金」、あるいは「現在」を求める係数が解答であることから「減債(ゲンサイ)」の語呂合わせが使えます。答えは「減債基金係数」で「〇」です。

6つの係数の「逆数関係」を覚える必要性について

FP試験のテキストには、おそらく「6つの係数は逆数の関係にある」という説明があると思います。

この説明、わかりにくいですよね。

しかも知らなくても別に解けてしまうし…ということで、いったい何のための説明かわからないと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

昔は「係数あり」の問題について、わざと係数の値を3つか4つしか問題文に出さず、必要な係数を問題から読み解いて、それを与えられた3つか4つの係数との「逆数関係」を使って解答させる問題がありました。

最近の「係数あり」の問題は、6つの係数がすべて与えられますので、重要度は低めです。

しかし、もしあの悪夢のような問題を再開させるとしたらFP1級試験だと思いますので、FP1級を受験される方は、余裕があれば逆数関係を覚えておくとよいかも知れません。

簡単に図解を載せておきます。

例えば、元本を年利2%で3年運用する場合に使用する「終価係数」は「約1.061」(=1.02^3乗)です。

この時、解答に必要な係数が「現価係数」であれば、「1÷1.02^3乗」をして「約0.9423」を自力で計算しなければなりません。端数処理は問題文にしたがいます。

残りの4つの係数の関係は、次のようになります。

表にまとめると下記のとおりです。

現価係数終価係数
年金現価係数資本回収係数
減債基金係数年金終価係数

1級対策の演習をこちらの記事の後半に掲載しました。逆数関係を使う方法も解説していますのでご活用ください。

直前でも間に合う!全級一発合格者がおすすめする問題集

FP3級から1級の試験をすべて一発合格した筆者は、すべての受験でTACの「あてるシリーズ」を直前に解いています。1級・2級・3級に分かれているので、受験する級のものを選ぶ必要があります。

「あてるシリーズ」は全3回分の予想問題が入った模試になります。

「〇年〇月試験」のようにおおむね試験ごとに予想問題が更新されているので、狙われやすい法改正にも完全対応しています。

筆者が3級・2級・1級のすべての試験でこれをずっと使った理由は、試験のたびに「やっといてよかった」と思うからです。

おすすめしたいポイントは、価格の割に問題の質が高いことです。体感的には10点~20点くらいこの問題集で底上げできたと思います。

特に1級は合格点ギリギリでしたから、本当に感謝しています。

問題集選びで迷っている場合は、「あてるシリーズ」の「的中実績」が参考になるかもしれません。

本を開いてすぐのページに大体いつも書かれています。

Amazonで確認したところ、商品画像下の「サンプルを読む」から「的中実績」のページを無料でチラ見することができました。「マジでやっといてよかった」と言いたくなる理由が、きっと伝わると思います。商品名に偽りなしです。

言い換えると、ここまで的中しているものなので「この問題集でそこそこ点が取れないと本番もやばい」という目安になります。

ここまで読んでくださりありがとうございました。