一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級学科試験2025年9月
【問17】投資信託のディスクロージャー
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投資信託のディスクロージャーに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1.日々決算型や毎月決算型(毎月分配型)の投資信託の交付運用報告書は、毎月作成し、投資家に交付することが義務付けられている。
不適切(✖)
日々決算型や毎月決算型(毎月分配型)のように、決算が6か月未満の投資信託については6か月ごとに運用報告書を作成し、投資家に交付する必要があります。

「投信法(投資信託及び投資法人に関する法律)」によって定められています
ちなみに上場株式と同様、内閣総理大臣への有価証券報告書の提出も義務付けられています(金融商品取引法)。決算が6か月未満の投資信託については、半期ごとの半期報告書の提出も必要です。
2.投資信託の交付運用報告書には、運用経過の説明や今後の運用方針などのほか、一定の期間における当該投資信託の騰落率と代表的な資産クラスの騰落率を比較して記載することとされている。
正しい(正答)
2014年12月以降に決算を迎えた投資信託の運用報告書から、「交付運用報告書」と「運用報告書(全体版)」に分かれます。選択肢の「交付運用報告書」は投資家に必ず交付されるものです。
運用報告書の中の重要な項目が記載されています。
交付運用報告書に記載される主な項目は、以下のとおりです。
・運用経過の説明
・今後の運用方針
・投資信託の概要
・代表的な資産クラスとの騰落率の比較(株、国債など代表的な資産クラスと、その投資信託の騰落率の比較)
・投資信託のデータ(組入資産の内容や純資産など)
よって選択肢は適切です。
「運用報告書(全体版)」も投資家に原則として交付されますが、電子交付にすることを約款で定めることができます。その場合、たとえば運用会社のWebサイトに掲載するなど、直接交付しない公開方法も認められます。
3.投資信託のトータルリターンは、「累計受取分配金額+累計売付金額-累計買付金額」の算式により算出される。
不適切(✖)
投資信託のトータルリターンとは、基準価額の変動やその間に受け取った分配金、売却益などから計算される、一定期間に得た総合的な利益の合計額です。「トータルリターン通知制度」により、投資信託の販売会社は投資家にこれを示すことが義務付けられています。
計算式は、以下のとおりです。
(評価金額+累計受取分配金額+累計売付金額)-累計買付金額
選択肢は、評価金額(計算時点で保有している投資信託そのものの評価額)が抜けているため、誤りとなります。

評価金額(=元本+含み益)を含めたトータルリターンになるイメージです
4.投資信託の販売会社は、投資家に対し、原則として、トータルリターンを6カ月ごとに通知することが義務付けられている。
不適切(✖)
「トータルリターン通知制度」における通知の頻度は、年1回以上とされているため誤りです。
なお、すべての投資信託が通知制度の対象になるわけではなく、上場している投資信託(ETFや上場REIT)、MRFやMMFなど、通知制度の対象外にできる商品ものもあります。