相続登記の義務化だけじゃない!何のために相続登記をする必要があるのか5つの理由を解説

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相続登記とは、相続した不動産の名義を亡くなった人から相続人などに変更するための、「所有権移転登記」のことです。

一体なぜこのような手続きをしなければならないのでしょうか。この記事では、その理由を解説します。

相続登記が必要な5つの理由

自分の不動産であることを証明するため

不動産の権利者が亡くなった後、ご自身がその不動産を相続したことを対外的に示さなければならない時があります。

誰かにその不動産を売りたい時、その不動産を担保に金融機関から融資を受けたい時など、不動産の権利に関わる取引きを第三者としたい時です。

このような時、取引きの相手は「この不動産の所有者はこの〇〇さんで間違いない」ということを確認した上で取り引きをしたいのですが、登記上の名義人が亡くなった方のままになっていると、それを確認することができません。

亡くなった人の実のお子さんであっても、相続不動産の所有者になるとは限りません。そのため関係者にとっては、誰が本当の所有者であるのかを相続登記によって証明してもらう必要があるのです。

そこで、不動産の権利を公的に管理するシステム、すなわち「相続登記」をすることによって「私がこの不動産の相続人です」ということを対外的に証明することができます。

それにより、売買などさまざまな取引きを進めることが可能となります。

相続した不動産は早めに売却することによって、固定資産税などの負担を軽減できるほか、売却益に対する譲渡所得税の優遇措置を受けられる可能性もあります。「いつか売却するかも」と考えている方は、期限前になってあわてないためにも早めに相続登記を済ませておきましょう。

権利の複雑化を防ぐため

「それなら売却が必要になったら相続登記をすればいいのではないか」と思われるかもしれません。

しかしそうすると、相続登記をするために本来よりも多くの労力やコストを要する可能性があります。

不動産は持ち主が亡くなるたびに、その不動産の持ち分が法定相続分で相続人に分散しているからです。

例えば、所有者Aが亡くなり、その子であるBとCが不動産の持ち分を2人で相続し、さらにその後にCが亡くなって、Cの子であるEとFがGがCの持ち分を3人で相続したとします。

この例では、Bが2分の1、EとFがGが各6分の1ずつ不動産を所有している状態になっています。

このように所有権が複数人に分散した状態になってから、故人であるAの不動産をBの名義にしようとした場合、相続登記をしなかった期間の権利関係の調査や、現在の権利者との連絡のために、多大な労力とコストがかかってしまいます。

そうなる前に、相続登記は早めにすることが大切です。

将来の相続人のため

相続登記をしないままご自身に万が一のことがあった場合、その不動産を承継するのはお子さんなど次世代の相続人になります。

もし相続人となったお子さんなどが「不動産を管理しきれないから手放したい」と思った時に、その不動産の相続登記が何世代も前からされていなかったことを知ったらどうなるでしょうか。

ただでさえ親が亡くなり戸惑っているところに、本来であれば負担する必要のなかった複雑な相続登記の手続きを引き継いでしまうことになります。

「どんなに複雑でもいざとなれば自分なら何とかできる」と考えていても、それが思わぬ形で次世代に引き継がれることは誰にでも起こり得ることです。

少しでも気になる場合は、先延ばしにせず相続登記を済ませておきましょう。

周辺環境に悪影響を与えないため

不動産について何か連絡したいことがあった場合、通常は登記情報を確認すれば、その所有者を知ることができます。

しかし、相続登記をせず空き家や空き地のまま放置されてしまうと、いったい誰に連絡をすればいいのかがわからなくなります。

こうした不動産があると、例えば、周辺の住環境や防災対策に悪影響を及ぼしたり、周辺の開発や整備計画の妨げになってしまったりするため、自治体や住民の迷惑になってしまいます。

相続登記がなされていない「所有者不明土地」の増加が、社会的な問題になっています。

相続登記をし、登記情報を最新の状態にしておくことは、その不動産周辺の環境を守ることにも繋がるのです。

相続登記が義務化されたため

不動産登記法の改正によって、相続によって不動産を取得した相続人などの方は相続登記をすることが義務化されました。

この改正によって、正当な理由がなく不動産の取得から3年以内に相続登記を申請しなかった場合、10万円以下の過料を科される可能性があります。

相続登記の義務化は2024年4月1日からですが、それより前に相続した不動産についても、2027年3月31日までに正当な理由がなく相続登記をしなかった場合は罰則が適用されます。

この「10万円以下の過料」は、「正当な理由」があれば科されることはありません。

しかしそれには、法務局(登記官)から送付された催告書にその理由とそれを裏付ける書類を付けて提出し、法務局に判断してもらうことになります。

相続登記をすることが可能であれば、早めに申請しておきましょう。

相続登記を申請するには

相続した不動産をいつか処分する可能性がある、次世代のために相続登記を済ませておいてあげたい、空き地になっているからなるべく周辺地域の迷惑にならない対応はしておきたい、やはり罰則が気になる…など、相続登記をする必要性を感じた場合は、早めにすませておくことをおすすめします。

相続登記は、司法書士に依頼して任せることもできますし、不動産を相続した本人が自分で申請することもできます。

司法書士に依頼する場合

司法書士に依頼することで相続登記の申請に必要な書類の準備から提出まですべて任せることができます。

時間の無い方や、何世代も相続登記をしておらず権利が複雑化している不動産であれば、専門家に依頼したほうがスムーズです。

次のような場合は、専門家への相談がおすすめです。

何世代も相続登記がされていない場合

・相続人の中に未成年である人・連絡のとれない人がいる場合

・代償分割や換価分割など複雑な遺産分割をした場合

・売却予定などが迫っていて自分で手続きをする時間がない場合

相続登記を自分でする場合

相続登記は不動産を取得した相続人が自分で申請することもできます。

例えば、亡くなった親名義の不動産を自分の名義に変えるような、権利関係が複雑でないケースであれば、はじめての相続登記でも不可能ではありません。

相続登記を自分ですることには、専門家に対する報酬の支払いが必要なくなる分、コストを安く抑えられる点にメリットがあります。

相続登記の申請に必要な書類については、専門書籍やWebサイトで調べたり、法務局の予約相談を活用して調べたりすることができます。

また、自分で調べることが難しくても、必要書類などを教えてくれるWebサービスを利用して相続登記をするという選択肢もあります。

相続登記を自分でしたい方は、ぜひこちらの記事もご覧ください。