自分を小娘と言うのは攻撃的で痛く見える?「私のような小娘」に代わる落ち着いた大人の言い換え

ビジネスシーンで用いられる「クッション言葉」の中には、自分自身をへりくだる「謙遜(けんそん)」の言い回しがあります。

例えば「僭越ながら・・・」「差し出がましいお願いですが・・・」のように、自分が当たり前に意見や依頼できる立場にないと弁えていることを表現する言葉です。

定型的な言い回しであれば、相手の不快感をスマートに吸収することができます。

しかし、注意しなければならないのは、へりくだりが行き過ぎてしまうとかえって相手を慌てさせたりモヤっとさせたりすることです。

その例として紹介したいのが、「私のような小娘が・・・」と、女性が自分自身を「小娘」とする言い回しになります。

今回は、女性が自分自身を「小娘」と称することの問題点と、それに代わる適切な言い回しをご紹介します。

自分を「小娘」と言うことの問題点

「小娘」という言葉は、若年の女性に対する軽蔑的な表現として知られる言葉です。

単に「物を知らない未熟な若い女」という意味ではなく「物を知らない女性を小馬鹿にする」という闇の深い用法があります。

今の時代、ビジネスシーンで女性を「小娘」と呼ぶような人は、少なくとも責任ある立場の方の中にはいないでしょう。

若者を馬鹿にするだけでも問題があるのに、それに女性という属性がついたこの言葉は、もはや危険物です。

それでは、相手に対してへりくだる「謙遜(けんそん)」の目的で、自分自身を「小娘」と言うことに、どのような問題点があるのでしょうか。

頑張る若い女性を大人は応援すべし

まず前提として、「私のような小娘」というワードを使用する女性には、どうしても伝えなければならない事があるけれど、相手との間に距離があって、どう受け止められるかに不安があるという心情があると思います。

黙っていては戦力外と思われるし、どうせなら、自分の考えがどのくらい目の前の存在に通用するのか発言してチャレンジしてみたい。

でも、角が立ってしまったら今後どのような場面で不利益に働くかわからない…など、若い時は本当に色んなことを考えて行動していると思います。

そのような中で「私のような小娘」と、若者がどこかで聞いたフレーズを絞り出し、必死に聞く耳をもってもらおうとチャレンジしているのであれば、たとえ言葉選びに「ん?」と思ったとしても、周りの大人は寛容であるべきだと思います。

とは言え、やっぱり危険物

しかし、どのような状況でも「小娘」という言葉はそれだけで危険な響きがし、使いどころが難しいと言えます。

本人は謙遜のつもりでも、「小娘」という言葉が持つ意味が、それを聞いた者の脳内で意図しない動作を始めてしまい、謙遜として正しく伝わらないケースもあります。

もし、年上の相手に自分の話を聞いてもらうために「小娘」というワードを謙遜のつもりで使い続けていると、気づかないところで、相手をモヤっとさせているかもしれません。

なぜ「小娘」とへりくだると相手をモヤっとさせてしまうのか、以下、その理由として考えられるものをご紹介します。

筆者の想像も入っているので、ここからはあまり深刻になりすぎず参考程度にとどめてください。

「小娘」にミスマッチ感がある

実年齢とのミスマッチを感じさせる

人生経験豊富な女性が「小娘」を自称する場合、実際の年齢との間にギャップを生じさせ、違和感を与えることがあります。

「小娘」の使用年齢に決まりがあるわけではありませんが、一般的に「小娘」は、物事を良く知らないというだけでなく若年の女性というニュアンスのある言葉です。

もちろん、70歳の相手に40歳の女性が使うような「相対的な小娘」という場合もあるのでしょうが、周りの人は違和感を覚えるでしょう。

何度も使っていると「ひょっとすると自分のことをまだ若いと思っているのかな…」と痛々しい印象に繋がってしまうおそれもあります。

言葉の本来の意味とのミスマッチも感じさせる

本来の小娘は、若さゆえに世間知らずであったり、物事の道理を弁えていなかったりする若年の女性に向けて使われます。

この本来の意味からすれば、世間知らずな少女(本来の小娘)には、こうした女性蔑視の言葉を自分に使って、目上の人に意見をしようという発想さえないと思います。

そのため、年齢だけでなく「本来の小娘」と「自分の話を聞かせるために小娘をあえて自称する賢い女性」とのギャップに、ミスマッチ感があるようにも思います。

謙遜の域を超えた卑下は面倒くさい

普段聞かないのでビビる

「小娘」という言葉は若い女性を軽んじるものであり、創作物くらいでしか聞いたことがない人は多いと思います。

筆者が思い出せるのも、天空の城ラピュタで閣下が「あんな小娘(シータのこと)、締め上げればすぐに口を割る」と言っている物騒なシーンくらいです。

日常のビジネスシーンでそのような言葉が女性から飛び出すと、あまりのへりくだりっぷりで相手を驚かせたり、相手に「そんな風に自分のことを言わなくていいんだよ」と気を遣わせたりしてしまい、場合によっては「面倒くさい」と思わせる可能性があります。

謙遜というより自虐

「小娘」という言葉に、女性を軽んじる差別的なニュアンスがあることは、使用者本人も理解しているはずです。

そうすると、例えば「私のような若輩者が」という言い回しもできる中で、「私のような小娘が」と、わざわざ「ばかにされている意味を含むほう」の言い回しを選んでいることを考えると、「被害者的な自分」を押し出している感じがしてしまい、クッション言葉としては違和感を覚えてしまいます。

謙遜して目的の話を巧く進めたいのではなく、自虐で注目してもらいたいというような、拙い印象を与える可能性もあります。

攻撃的に聞こえるリスクもある

オッサン・オバサン認定された気分になる

相手との年齢差がそこまでない場合、いくらその道の先達を立てる意図があっても「ってそんなオッサン(オバサン)だと思われてるのか…」とショックを与えることもあると思います。

もし「若さでマウントを取りたい」という気持ちであれば狙いどおりなので問題ありません(?)が、「マウントを取りながら謙遜のポーズも決める」という「マウントと謙遜の二重取り」は多分できていないので注意が必要です。

「謙遜のふりをした攻撃」に見えることも

話の流れや語気によっては「謙遜(けんそん)のふりをした攻撃」として見られる可能性があることにも注意が必要です。

例えば、語気荒く公の場で男性に向かって使うと、相手に「この女性は、私が女性を軽んじるような人物だと印象づけたいのかな?」等と誤解される可能性があります。

攻撃をすることが目的であれば問題ありません(?)が、攻撃するつもりがなければ別の言葉を選んだほうが無難です。

識者による公の場での「素人質問なのですが…」のレベルで相手を身構えさせる可能性があります

偏見を持たれている気がする

会話をしている若い女性が、いきなり「小娘」というワードをチョイスして自分に差し向けてきた場合、前時代的な差別的表現にドキッとする人は多いはずです。

そして勘繰りやすい性格であれば、「あなたのような年齢の方はこういう表現がお好きでしょ?」と、前時代的な思想の持ち主であると偏見を持って自分に接してきているようにも見えてしまう可能性があります。

この場合、女性にとってはスマートに謙遜して見せたつもりでも、相手は静かに不快感を抱いている可能性があります。

相手が攻撃的になる可能性がある

例えば、周りと知識のレベルが合わずなかなか会話に入っていけない時、自分に「小娘」という言葉を使って話を聞いてもらおうとする場合があるかもしれません。

目上の人に意見を聞いてもらうための手段であり、悪気はないことは理解できます。

しかし、「小娘」という差別的ニュアンスが含まれた言葉を選んでしまうと、聞き手によっては「若い女性の話もちゃんと聞いてくださいね?♡」たしなめられた様な不快な気持ちになる人が出てくる可能性があります。

そうなると「この子は自分の勉強不足を棚に上げてここまで来たのか。よし、ここでわからせてやろう」と相手が攻撃的になる可能性があります。意見がぶつかり合っている議論の場では避けたほうが無難です。

「私のような小娘」の言い換えに使える表現

このように「小娘」は、相手の受け止め方で印象が変わり、使用者が意図しない意味で伝わってしまう可能性がある言葉です。

例えうまく伝わったところで固有のメリットが特にないため、結局は「小娘」を使い続けるといつか損をすると思います。

以下に、こうしたリスクが少ない、「小娘」に代わる謙遜の定型をいくつか紹介します。

若輩者

「私のような若輩者が申し上げるのはおこがましいのですが…」
「若輩者としての意見ですが…」

「若輩者」なら、経験や知識が少ないことを謙虚に表現しつつ、年齢や性別に関係なく使用できます。

未熟者

「私のような未熟者が意見を述べるのは恐縮ですが…」
「未熟者の考えですが…」

「未熟者」もまた自分の経験不足を強調するための表現あり、年齢や性別に関係なく使用できます。

新人

「私のような新人が意見を述べるのはおこがましいのですが…」
「新人としての視点ですが…」

職場で使う場合に適しており、自分の立場を明確にすることができます。

若輩・未熟の響きが堅くて使いにくい場合におすすめです。

差し出がましい・でしゃばる

「差し出がましいことを申し上げました」

「でしゃばって申し訳ないことをしました」

うっかり攻撃性のある意見や行動をしてしまった時、自分の非礼を弁えていることをこの言葉でサッと詫びることで、その攻撃性を緩和することが期待できます。

「しまった!」と感じた後のリカバリーに使えるので、こちらもストックしておくと良いと思います。

まとめ

ビジネスシーンにおける謙遜は、自分の目的を達成するための重要な手段です。

それを考えれば、「小娘」という表現は、ミスマッチな感じや攻撃的な印象を与えるリスクがあるため、謙遜の目的であったとしてもできれば避けるべきでしょう。

代わりに、「若輩者」「未熟者」「新人」などの、テンプレ的な耳なじみのよい表現を用いることで、気を遣わせたり誤解を生んだりすることなく、目的の対話をすることができるはずです。