NISAの複利効果を解説!20年で資産は通常の何倍になる?

NISAで投資をするにあたって最も重要なことは、NISAを使ってどのように投資をすればよいのか、ということです。

NISAと最も相性のよい投資方法は、積み立てと再投資による複利効果を活用した投資になります。

この記事では、なぜこうした投資方法がNISAと相性がよいのか、複利効果によって通常の何倍の投資効果を得られるのかを解説します。

NISAの非課税メリットとその効果

NISAは投資にかかる税金が非課税になると聞きました

そうです

どのくらい得になると考えたらよいのでしょうか

配当金や売却益には、それぞれ20%の税金がかかります

NISAで投資をすればこれらがすべて非課税になります

NISA口座で取得していない株や投資信託には、配当金や売却益にそれぞれ税金(所得税及び復興特別所得税・住民税)がかかります。税率は正確には「20.315%」(所得税及び復興特別所得税:15.315%、住民税5%)ですが、この記事では「20%」とします。

スゴイことなのかどうかが今一つわかりません

実際の数字でイメージしてみましょう

NISAを使わずに購入した株式から配当金1万円が支払われた場合、手取りはいくらになるでしょうか

20%の税金を引いた8,000円です

正解です

でもNISAを使うと…

手取りはまるまる1万円になります

同じ金額を投資に使ったのに、手取りが1.25倍になるんですね

正解です

それでは、10万円で買った商品を15万円で売った場合の手取りはどうでしょうか

売却益は15万円から10万円をひいた5万円です

その20%で1万円の税金がかかるので、手取りは14万円です

正解です

でもNISAを使うと…

15万円を全部もらえます!

NISAをただ非課税になるだけの制度だと考えてはいけません。NISAを使えば配当や売却益のすべてが手取りになります。その分、次回の投資に使える資金が増えるため、NISAを使い続ければ通常よりもかなり効率のよい投資ができるのです。

それでは投資信託を10万円で購入し、分配金1万円を計3回受け取った後に15万円で売却した場合の、NISAとNISA以外の資産価値を比べてみましょう。

NISAを使わない場合、3年後の資産は16万4,000円

NISAを使った場合は18万円になりますね

お得だね!って感じはします

「単利」でみるとそうなります

NISAの本当のすごさは「複利」にあります

なぜNISAは積み立て・再投資と相性が良いのか

そもそも複利効果とは何か

複利とは何ですか?

再投資後の元本から生じる利益のことです

さきほどの投資信託で説明します

10万円の元本に対して年8,000円の分配金が支払われる場合、単利でみれば3回分の分配金は2万4,000円です

仮に元本の価値が変わらないとした場合、3年後の元本は0.08が3回分加算された1.24倍になります。

単利の計算

元本10万円を利回り8%で3年間運用する場合(分配金はその都度「受取り」)

・1年目 108,000円:(1.08)

・2年目 116,000円:(1.16)

・3年目 124,000円:(1.24)

複利はどこが違うんですか?

複利の場合は配当された8,000円を元本に組み入れます

そうすると1年目は10万円×1.08」で8,000円の配当になりますが、2年目は「10万8,000円×1.08」で8,640円になります。

つまり複利の場合は(1.08)の3乗で約1.26倍になります

複利の計算

元本10万円を利回り8%で3年間運用する場合(分配金はその都度「再投資」)

・1年目 108,000円(1.08)

・2年目 116,640円:(1.08)^2乗

・3年目 12,5971円:(1.08)^3乗

単利よりちょっと得になるんですね

ちょっとどころではありません

複利は長期の投資で効果が雪だるま式に大きくなります

例えば同じ条件で20年運用した場合、単利でみれば20年後の資産は26万円ですが、複利なら約47万円になります

20年運用した場合

【単利の場合】

・20年目 260,000円:(1+0.08×20年)

【複利の場合】

・20年目 466,095円:(1.08)^20乗

いくらなんでも差がありすぎではないでしょうか

これが複利の力です

NISAの非課税制度と複利効果は相性ばつぐん

それでは本題にもどります

もし同じ投資をNISAでやったらどうなるでしょうか

分配金に税金がかからないので再投資額が通常の1.25倍になります

そうです

配当利回り8%ではなく年10%と考えることができます

単利なら30万円、複利なら約67万円になります

…想像を超えていました

NISAと複利効果が合わさるとこんなに増えるんですね

複利効果を最大限に引き出す「再投資」と「積み立て投資」

どうやって投資をすれば複利効果を得られるのでしょうか?

投資信託を購入し、分配金の受取方法を「再投資」にする方法が一般的です

また、投資信託に一定額を「積立」投資すると元本の増加が早まり、複利効果がさらに大きくなります

旧つみたてNISAはこの方法に特化していました

2024年からの新NISAでもこの投資方法は可能です

「投資信託」「再投資」「積立」のセットでやればいいのですね

そうです

NISAで複利効果を得るには投資信託で「積立」「再投資」を選択する方法が一般的です。いわゆる「ほったらかし投資」ができます。

もちろん、配当金や分配金を再投資せずに受け取り、運用成績の良い商品に自分で分配していくことによっても複利効果を得ることはできます。自分で投資先や投資時期を選ぶ手間はかかりますが、投資の判断力は上がります

複利効果をねらってNISA投資をするときの注意点

・・・あれ?

今思ったのですが、「積立」をするよりも、最初に元本をたくさんいれたほうが複利効果は高いですよね?

そのとおりですがおすすめしません

なんでですか?

まず、NISAには非課税になる年間の投資上限額があります

旧NISAは年120万円か年40万円、2024年からの新NISAでは年360万円です

これを超えて購入すると非課税にならない通常の口座に入ってしまうので、複利効果が下がります

いやそれだけ買えるなら十分ですよ

2024年になったら全財産の300万円、一気にいっちゃいます!

だめです

かならず少額からやってください

絶対に失敗します

…そうなんですか?

投資は知識が増えた時が一番あぶないって聞くけど本当やな…

はじめての投資において「集中投資」は絶対にやってはいけません。「集中投資」とは投資対象を1つに絞ることの他にも、投資するタイミングを短期間に集中させることも含まれます。投資するタイミングを集中させることの問題点は、一度の下落要因で受けるダメージが非常に大きくなることです。反対に、長期間で少しずつ投資をすればこのダメージを小さくすることができ、手堅い資産形成になります。

NISAの積み立て投資なら、投資タイミング・投資商品の両方の分散が手軽にできます

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まとめ

・NISAとは配当と売却益のいずれも非課税になる

・非課税分の利益が複利効果と相性がよい

・元本10万円を利回り8%で20年間運用する場合、NISA未利用なら約47万円・NISA利用なら約67万円になる

・上記の投資効果は再投資・積立投資で複利効果をさらに差が広がる