年末調整や確定申告で受けられる所得控除に、一定の保険料や掛け金を支払った場合に受けられる控除があります。
生命保険料控除・社会保険控除・地震保険控除・小規模企業共済等掛金控除です。
自分が加入する保険や共済に、自分で保険料や掛け金を支払っていれば、もちろんそれは自身の所得控除になります。
ところが家族のための保険についても自分が保険料等を支払っている場合、それを自分の所得控除にできるかどうかの取り扱いは保険ごとに異なります。
控除になるものもあれば、まったくならないものもあるし、控除になるものであっても対象となるその家族の範囲が微妙に違ったりするのです。
毎年のことながら迷いやすい論点だと思いますので、すべての保険料控除と控除できる家族の範囲を一覧にまとめました。
ぜひ最後までお読みください。

所得が高い一家の大黒柱が控除を申告すると、より節税になります
生命保険料控除で申告できる家族分の範囲
生命保険料控除は、生命保険・医療保険やがん保険・個人年金などに対して保険料を支払った場合に申告できる控除です。
保険商品の名称に関わらず、死亡・病気・ケガなどのリスクを補償するものであれば、そのほとんどが一般生命か介護医療のどちらかの控除を受けられるよう設計されています。
どの区分の保険に該当するかは、保険会社から交付される控除証明書で判断します。

自分で判断する必要はありません
生命保険料控除の家族分については、受取人を基準に控除できる範囲が定められています。
このとき、家族が同一生計であることは求められていません。
保険料の種類 | 主な保険内容 | 控除対象となる保険 |
---|---|---|
一般の生命保険料 | 生命保険 | 受取人が 本人・配偶者・親族 |
介護医療保険料 | 医療保険・がん保険 | 受取人が 本人・配偶者・親族 |
個人年金保険料 | 個人年金保険 | 受取人が 本人・配偶者 |
一般の生命保険料と個人年金保険料には、新・旧の区分がありますが、どちらにおいても家族分の控除範囲は同じです。
個人年金のみ、控除できる家族分の範囲が、配偶者に限定されます。
生命保険料控除に同一生計の要件はありませんが、もともと保険契約のルールにおいて受取人になれる親族は限定されています。一般的には、配偶者と二親等の血族(子・両親・孫・兄弟姉妹)までです。同一生計の要件がないからといって、遠い親戚の分などを申告することはそもそもないということです。
社会保険料控除で申告できる家族分の範囲
社会保険料控除は、健康保険・介護保険・国民年金や厚生年金などの公的医療・介護・年金保険や、雇用保険など保険に対して保険料を支払った場合に申告できる控除です。
社会保険料控除の家族分の判断基準は、シンプルに各保険の加入者が基準になっています。
保険料の種類 | 主な保険内容 | 控除対象となる保険 |
---|---|---|
社会保険料 | 公的医療・介護・年金保険 雇用保険 | 加入者が 本人・配偶者・親族 (家族分はいずれも同一生計) |
「同一生計」とは、同じ収入源で生活している状況をいいます。

別居していても仕送りで生計を共にすれば「同一生計」です
天引きされた社会保険料は、その給与や年金が支払われた本人の社会保険料控除になります。

家族の給与や年金から天引きされた分を自分の控除にすることはできないんですね…
地震保険料控除で申告できる家族分の範囲
地震保険料控除は、家屋や家財の損害を補償するための保険に対して保険料を支払った場合に申告できる控除です。
火災保険の特約(オプション)で加入している場合がほとんどですが、平成18年以前の長期損保契約にも対象になるものがあります。保険会社の控除証明書で判断しましょう。
地震保険料控除の家族分については、その家屋や家財が誰のもの(誰の名義)であるかが基準になっています。
保険料の種類 | 主な保険内容 | 控除対象となる保険 |
---|---|---|
地震保険料 | 地震による家屋・家財補償 (常時生活使用が条件) | 家屋・家財の所有者が 本人・配偶者・親族 (家族分はいずれも同一生計) |

社会保険と一緒で「同一生計」が条件になります
小規模企業共済等掛金控除は家族分を申告できない
小規模企業共済等掛金控除とは、iDeCo(イデコ)や小規模な企業の経営者・個人事業主が加入する小規模企業共済などに対して掛け金を支払った場合に申告できる控除です。
小規模企業共済等掛金控除を申告できるのは、加入者本人のみです。家族分の控除は申告できません。
保険料の種類 | 主な保険内容 | 控除対象となる掛金 |
---|---|---|
小規模企業 共済等掛金 | 小規模企業共済・iDeCo | 本人のみ (家族分は不可) |
年末調整において、この小規模企業共済等掛金控除は、他の3つの保険料控除と同じ申告書(給与所得者の保険料控除申告書)を使って申告しますが、この控除のみ家族分を申告できないので、混同しないようにしましょう。

家族分のiDeCoを自分の控除することはできないんですね…
控除できる「家族分の保険料」の一覧表
最後に、保険料控除を申告できる家族分を、一覧表でまとめます。(生命保険料控除のみ、保険の種類で3区分に分けています。)
控除の種類 | 基準 | 家族分の範囲 |
---|---|---|
生命保険料 (一般) | 受取人 | 配偶者・親族 |
生命保険料 (医療介護) | 受取人 | 配偶者・親族 |
生命保険料 (個人年金) | 受取人 | 配偶者のみ |
社会保険料 | 加入者 | 配偶者・親族 (いずれも同一生計) |
地震保険料 | 所有者 | 配偶者・親族 (いずれも同一生計) |
小規模企業 共済等掛金控除 | ‐ | 不可 (本人のみ) |